保育所の面積最低基準の緩和に断固抗議する(コメント)
2009年11月18日
東京自治労連
書記長 吉川 貴夫
1.厚生労働省の保育所面積最低基準緩和方針
11月4日、厚生労働省は、認可保育所の面積最低基準について、「東京等の都市部に限り、待機児童解消までの一時的措置として」地方自治体の判断に委ねるとの基準緩和の方針を明らかにしました。
厚生労働省は、「保育・介護・福祉の質等に深刻な悪影響が生じかねないもののみ、例外的に全国一律の最低基準を維持」するとして、「『人員配置基準』『居室面積基準』『人権に直結する運営基準』に限り『従うべき基準』とする」との考え方を示しています。
その後、11月12日には、避難用の外階段の設置、耐火、医務室や園庭の設置などの保育所最低基準を撤廃し、自治体判断に委ねる方向で検討を進めていることが、マスコミ報道で明らかにされています。
2.義務付け・枠付け規制緩和は国の責務放棄
厚生労働省の最低基準緩和方針は、地方分権改革推進委員会「第3次勧告」(10月7日)や全国知事会等の提言による「法律や政令による義務付け・枠付け」の見直し要求を直接的な背景としています。
「第3次勧告」等は、「最低基準」を国から地方への「義務付け・枠付け」(規制)と位置付けていますが、最低基準は、子どもの生活や発達を保障する最低限の水準(ナショナルミニマム)であり、これを「義務付け・枠付け(規制)」とみることは重大な誤りです。
ナショナルミニマムである基準を手放すことは、憲法に規定された国民の生存権保障に関わる国の責任を放棄するものにほかなりません。
3.そもそも低すぎる最低基準
現在の面積最低基準は1948年に制定されたものであり、国際比較においても最低レベルの基準です。
全国社会福祉協議会が実施した実証研究「機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業」結果(2009年3月、厚労省科研費)では、2 歳未満児については3.3 u/人を4.11 u/人に、3 歳以上児を1.96 u/人から2.43 u/人に改善すること、食事と午睡の場を分けることができる空間の広さが必要であることを提言しています。
厚生労働省が実施すべきことは、最低基準を「乳幼児の発達と生活の営みと教育の場、保護者支援の場として保育所を捉え、そこで必要とされる保育所保育指針にもとづく保育を行うために最低限必要な施設設備基準等」(同研究事業)へと改善することです。
4.待機児解消には直結しない
東京等の都市部における面積最低基準緩和は、待機児解消を口実としています。
保育所整備に必要な土地・建物の確保の困難さをその根拠としていますが、待機児解消が進まない最大の問題は財源問題です。
不十分な国の財政措置や三位一体改革などに伴う自治体財政状況の悪化の中で、各自治体が財源縮減対策として、公立保育園の民営化・業務委託化・非正規化をはじめとした保育関連予算の削減を推し進めてきたことに最大の要因があります。
待機児解消対策も既存の保育所に子どもを押し込む「詰め込み保育」を基本としており、根本問題に対する手立てをとらずに、面積最低基準を緩和したことは、「詰め込み保育」のさらなる拡大を招くこととなります。
極めて不十分な面積最低基準を緩和して定員拡大を行うことは、子どもの運動発達面など様々な弊害をもたらすこととなります。
十分な財源確保による認可保育所の抜本的拡大こそ真の待機児解消対策です。
5.国の責任放棄を許さない
子どもの育ちや安全を顧みずに最低基準の緩和・廃止を検討・決定している厚生労働省の暴挙に対して、日本保育学会・全国保育協議会・全国保育士会や保護者団体などから、最低基準の廃止・緩和反対のアピールが、次々と発表されています。
東京自治労連も、「児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準」(児童福祉法第45条)に関わる国の責務を放棄する厚生労働省の対応に対し、強く抗議し、方針の撤回を求めるものです。
東京自治労連は、厚生労働省による公的保育制度解体の策動、最低基準緩和・廃止、公立保育園の民営化・委託化、喫緊の課題である待機児解消問題など、公的保育問題を秋季年末闘争の最重点課題として位置付け、この間、多くの都民・関係団体と共同した闘いを展開してきました。
この間、江東・墨田・目黒区職労が取り組んだ地域の保育政策づくり運動と政策提言など、運動も大きく前進しています。
引き続き、子どもの権利を守り、最低基準制度の堅持と保育条件改善のために、都民、保護者、保育関係者、関係諸団体と連帯、共同し、職場・地域から全力を尽くして取り組みを強化していくものです。
以上









