2010国民春闘の闘いで「派遣村」が必要ない社会を実現しよう
2010年1月6日
東京自治労連中央執行委員会
運動の成果で「公設派遣村」が実現
500名の利用者があり社会的事象となった昨年の「年越し派遣村」から1年が経ちました。しかし、完全失業者が80万人も増えるなど、雇用情勢や景気は回復の兆しをみせておらず、生活保護世帯は増加の一途をたどり、過去最高を更新し続けています。都内の駅周辺や公園などでは、路上生活を強いられている方たちが昨年以上に目立っており、支援団体の炊き出しに並ぶ列は倍増していると伝えられています。
昨年の「年越し派遣村」を支援した団体・個人は、再び「年越し派遣村」が必要ない社会をつくるために、労働法制の見直しや社会保障制度の改善運動を続け、行政の責任での施策の実現を求めてきました。
この運動の結果、国と東京都は、住居を喪失し生活に困窮している人を対象に、12月28日〜1月4日朝までの予定で、500名規模で宿泊施設を用意する「生活総合相談」事業を実施しました(いわゆる「公設派遣村」)。
このように行政が、派遣切り等で生活に困窮している方を救済するために、年末年始の「生活総合相談」に取り組んだことについては、闘いの到達点であるとともに、大いに評価できるものです。
「公設派遣村」を補った「ワンストップの会」の支援行動
しかしながら、今回の「公設派遣村」については、東京への集中を恐れたために広報が十分でなく住居喪失・生活困窮者に情報が伝わりにくかったこと、利用要件としてハローワークでの登録を必須としたこと、相談体制が貧弱だったこと等の問題点がありました。
全労連を含む「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」(代表・宇都宮健児弁護士。略称:ワンストップの会)では、12月24日と31日の2度にわたって、問題点を指摘して都に公式要請を行うなど折衝を重ねるとともに、年末年始も休みなく支援を行いました。これには自治労連本部役職員、東京自治労連役職員や単組役員も多数ボランティアとして参加しました。
連日100名を超すボランティアが、都内各所でのチラシ配りなどの広報・宣伝活動を行い、住居喪失・生活に困窮している人を「公設派遣村」につなげました。また、生活保護制度等について正しい情報を提供する相談活動も行いました。生活保護の利用が適切と考えられる場合、FAXで申請書を自治体に送付し、早期の生保開始に向けた支援等を行いました。さらに弁護士等が多重債務等の相談にも対応しました。
ワンストップの会の広報もあり、結果として当初定員を大幅に上回る830名を超える方々が、オリンピックセンター等の宿泊施設を利用しました。その多くが路上生活で仕事もなく、手持ち金もわずかという困窮状態であったために、都は「生活総合相談」の期間をさらに2週間延長するという対応をとりました。5日の時点で、少なくも350人以上が生活保護の申請意思を明らかにしており、昨年の「年越し派遣村」での申請数(223名)を大幅に上回る見込みです。
いまなお、「派遣村」が必要とされる社会
「公設派遣村」利用者と保護申請は、昨年の「年越し派遣村」を大幅に上回ることになりました。多くの方は手持ち金がほとんどない状態で支援を求めており、命の問題さえ生じかねない深刻な困窮状況に置かれていました。これは、貧困を可視化させた昨年の「年越し派遣村」の社会的告発によっても、「貧困と格差」の広がりが是正されず、有効な解決がなされていないことを意味しています。
「貧困と格差」の広がりを招いた根本原因は、労働者を使い捨てにする労働者派遣を進めるなど、自公政権の政策の誤りにあります。その中で、大企業は10年前の約2倍に内部留保を蓄える一方で、低賃金・不安定雇用労働者を増やしたものです。
新政権になってようやく昨年末に、労働政策審議会が登録型派遣や製造業派遣の原則禁止を柱とする労働者派遣法改正を答申しましたが、「抜け道」もあって実効性に欠けており、さらに原則禁止は3年後、登録型のうち一部業務はさらに2年の猶予を設けるなど、喫緊の課題を先送りするものとなっており、実効ある労働者派遣法改正へ向けた闘いの強化が求められています。
新政権は、国民の要求を踏まえて掲げた労働法制・社会保障制度改善の課題について、一部先送りなどの「後ずさり」を見せており、今春闘における圧倒的な労働者・国民の世論と闘いで早期実現をめざす必要があります。
また、深刻な経済状況を改善していくためにも、大企業の莫大な内部留保の一部を吐き出させ、雇用確保と大幅賃上げを実現する闘いが重要であり、これらを重点課題と位置付けた2010年国民春闘の闘いに全力で取り組むものです。
制度改善の運動と、生活保護職場の増員要求を結合して闘おう
今回の「公設派遣村」を利用した方たちの多くは、収入もない状態で路上生活となり、手持ち金がなくなっており、既に要保護状態として生活保護制度の対象となる方たちでした。本来ならば、年末年始の「公設派遣村」を待たずに、生活保護制度を利用できていれば、今回のような混乱を招くことはありませんでした。
一部の福祉事務所とはいえ、報道されているような「水際作戦」と非難されるような対応を改善することも必要です。
「水際作戦」の根本にあるのは、国が数々の通達等で、生活保護世帯を減らすことこそが自治体の仕事である、として自治体に圧力をかけ続けてきたことです。また、保護費の財政負担として地方自治体負担が4分の1あるために、保護世帯の増加が自治体財政を圧迫する構造となっていることです。急増する生活保護世帯のために、23区中16区が補正予算を組まざるを得ず、財政対応に苦慮しています。
国・自治体の基本姿勢として、制度利用が必要な世帯には漏れがないようにする「漏給防止」を主眼にすることが必要です。そのために、ナショナルミニマムの実現は国の責任として、財政負担を全額国庫負担で行うことが必要です。また、生活保護(公的扶助)を利用できる低所得世帯のうち、わずか1〜2割程度しか実際には利用できていないという生活保護の捕捉率の低さを改善させる取り組みも求められています。
深刻な貧困の広がりの中、生活保護関係職場は増え続ける生活保護世帯への対応に追われています。今年度当初の段階でさえ、ひとりのワーカーが100世帯以上を受け持たざるを得ない自治体が多く存在しています。その後も新規申請が増え続けており、それに追い打ちをかけるように、今回の「公設派遣村」の利用者からの大量の新規申請に対応することになります。
適切な自立支援を保護世帯に行うためにも、少なくとも国が標準としている80世帯の受け持ち件数を上回らないように大幅な人員増が必要であり、既に決定している「生活保護行政の改善と生活保護職場の大幅な増員を求める取り組み」(2009年5月27日中執決定)に基づいて生活保護職場の人員増へ向けた闘いを生活保護制度改善の運動と結合して取り組んでいくものです。
東京自治労連は、全労連・自治労連に団結し、広範な共同の力で2010国民春闘を闘い、「貧困と格差」を無くし、憲法第25条の生存権を保障し、誰もが安心して生活できる社会を実現するために引き続き奮闘していくものです。
以上









