2010年度 東京自治労連 自治研活動の取り組み方針
2010年2月24日
東京自治労連中央執行委員会
1.「構造改革」による矛盾と闘いの広がり
「構造改革」に反対する国民世論が広がる中で、自公政権は国民の厳しい審判を受けて退陣を余儀なくされ、民主党を中心とする政権に交代しました。
これまでの財界・自公政府による「構造改革」で、仕事と所得、生活、社会保障、教育などあらゆる分野で「貧困と格差」が広がり、多くの国民の目にその矛盾が見えだしています。
社会保障では、02年以降、毎年2200億円(初年度は3000億円)を削減し続けてきたことが、あらゆる分野で福祉破壊を引き起こしました。最後のセーフティネットである生活保護の受給者は史上最高の水準を更新し続けています。
また、年収200万円未満世帯が3割を超えるという低賃金、4割近くにまで増えた非正規雇用、なかでも派遣労働の自由化による不安定雇用の広がりは、派遣切りが即、住居の喪失(ホームレス化)となり、生存そのものを脅かしています。
昨年の「年越し派遣村」が貧困を可視化して衝撃的に問題提起をした後も、貧困に対する支援の運動がさまざまに形を変えて全国的に広がりました。しかし、低賃金・不安定雇用は改善されず、運動に押されて今年は「公設派遣村」ができました。
2.石原都政が推進した「構造改革」
小泉構造改革より先に、都政から「構造改革」を始めたのが石原都知事です。「何が贅沢かと言えば、まず福祉」と福祉切捨てを進め、老人福祉費は全国第2位から最下位にまで落ち込みました。高齢者、障害者、子ども等の数々の福祉施策・制度を廃止しました。たとえば、特別養護老人ホームの建設を行わず補助金も減らしているため、特養には何年も待機しないと入れない状況です。
「公的保育制度を東京から変える」と石原都知事が始めた認証保育所は、大半が株式会社による運営であり、認可保育園の基準を下回る人員配置や面積、高額な保育料などが特徴です。営利の追求で人件費や食費を切りつめるところが多く、その弊害が噴出しています。荒川・世田谷の施設では職員の架空申請が行われ、墨田では一人あたりの食材費が69円という問題が発生、中野では親会社の経営悪化を理由に開設後わずか2ヶ月で閉鎖という事件が起こりました。
医療では、都立病院の統廃合、公社化、PFI化、独立行政法人化などを進め、都立看護学校を次々と廃止するなど、医療崩壊を率先して進めました。その最たるものが都立3小児病院廃止の条例化です。
都民が求める都営住宅は、10年間で1戸も新規建設をしていません。石原都政が大企業のための開発優先で、都民のくらし犠牲にしてきたことに対し、都民の闘いが広がっています。
3.都議選、総選挙で示された国民の動向と、新たな展望
「構造改革」路線による貧困と格差の拡大に直面し、国民は自らの要求との矛盾に目を向けて新しい政治を模索し始めました。政権交代は、私達の求める住民のいのちとくらしを守る取り組みにも新たな展望を切り開いています。
しかし、民主党連立政権の成立で、これらの矛盾が自然と解決できる訳ではありません。参議院で当時の野党四党で後期高齢者医療制度廃止法案が可決され、民主党のマニュフェストでも廃止としたにもかかわらず、連立政権では廃止は先延ばしとされています。また、生活保護の母子加算は復活したものの、老齢加算は復活せずに放置されています。
さらに民主党は地方分権の名のもとに保育所等の福祉施設の最低基準の撤廃など、自治体施策の切り捨てとなる「義務づけ・枠付け」の見直しをすすめています。
国民のいのちとくらしを守るための政策を実現していくためには、私たちの運動や政策づくりが欠かせません。
都政では、7月の都議選の結果、与党の自公が過半数を割って、石原都政に対して批判的なスタンスを打ち出した民主党が第一党となり、都民要求の実現につながる状況が生まれています。国政と同じ方向をすすんでいた石原都政に対しても、都民が「構造改革」路線と自らの要求との矛盾に対し、新しい政治を模索し始めたものです。
この変化を作り出したのは都民の力であり、これまでの各分野各層の運動がその大きな力となっています。たとえば、都立3小児病院の廃止問題では、民主党が廃止条例に反対にまわり、結果として条例が可決したものの委員会では一票差となるなど、統廃合への反対運動の広がりが都議会にも大きな影響を与えました。さらに闘いの力に押されて、義務教育における少人数学級についても、ようやく全国で最後に実施することになりました。
新しい都議会では、都民の強い運動を背景に新銀行東京と築地市場移転・再整備に関する特別委員会が設置されています。五輪誘致費用についても、マスコミが次々と批判的記事を掲載し、堂々と石原批判を展開できるような社会的環境になっています。
しかしながら、都議会民主党が都立3小児病院の廃止を容認する立場に変節してしまいました。都議会勢力は拮抗しているため、どのような形で都民要求に基づいた政策・施策を実現していくかが重要であり、新しい情勢を生かしながら、私たちが積極的に政策提言をし、都民の運動を広げていくことが必要です。
4.これまでの自治研活動の到達点
(1)第7回の東京地方自治研究集会
第7回東京地方自治研究集会は、「憲法がいきる東京を」を集会テーマに掲げ、2008年6月15日、明治大学駿河台キャンパスを会場として開催されました。
基調報告と渡辺治一橋大学大学院教授による記念講演「改憲・構造改革と東京都政」を内容とした午前中の全体集会には会場定員を超える550名の参加、午後に開催された18分科会には650名が参加し、集会参加者は延べ1200名に達しました。実行委員会構成団体は50団体及び1賛同団体と過去最高数に到達し、情勢の進展を踏まえた共同が広がりました。
記念講演では、世界的に「新自由主義」の政策転換が流れとなっていること、憲法改悪反対の世論と運動が安倍政権の改憲強行を挫折させたこと、構造改革路線の欠陥と挫折が明らかにされました。東京が変われば日本が変わる、憲法第25条を東京に取り戻そうとの呼びかけにより、参加者に構造改革路線と改憲路線を打ち破るために都政を転換させることの必要性が意思統一されました。
基調報告についても、各団体の積極的な協力に基づいて、都民と都政の全般にわたる分析を試み、都政政策確立にむけた第一歩として大きな役割を果たしました。
各分科会の準備にあたっても、最大で8回の実行委員会を積み重ね、課題の討議・学習と団体間交流を進めてきたことにより、運動の発展に大きく寄与しています。
(2)各単組・支部での自治研活動
東京自治労連に結集する単組・支部では、それぞれの地域や課題別に地方自治を推進する調査・研究が行われ、住民との共通する課題を明確にし、具体的にさまざまな政策提言や提言に基づく共同行動が取り組まれました。町会などの幅広い区民団体にも呼びかけて、さまざまな課題で取り組まれている墨田区職労や板橋区職労、保育・子育て政策づくりを推進した目黒区職労・江東区職労、衛生局支部や養育院支部が参加する「東京の保健・衛生・医療の充実を求める連絡会」が主催する都立3小児病院の存続や全都立病院の都直営での充実を求める連続した学習決起集会など、先進的な取り組みがあります。まさに、自治労連の提起する「対話と提言」運動の実践です。
草の根からのこうした取り組みは首長や保守会派を含む議会勢力にも影響を与え、世論形成に大きな影響を与えるとともに、首長選挙での政策活動にも大きな成果を挙げています。たとえ首長選挙で革新民主の自治体を確立できなかった場合であっても、住民と一緒に培った政策提言は多くの住民の支持を得ており、新たに選出された保守首長であっても、具体的に政策として取り入れざるを得ない事例も数多く生まれてきています。
5.2010年度自治研活動の課題
自治体の行う仕事は、憲法にその根本精神が定められています。戦争放棄を定めた9条をはじめ、幸福追求権(13条)、生存権(25条)、教育権(26条)、地方自治の本旨を明記した92条など、私達の生活を保障する根本に憲法があります。
07年に憲法改定のための国民投票法が成立して衆参両院に憲法審査会が設置されており、10年には国民投票の実施も可能です。解釈改憲により戦争できる国にするための策動や、憲法改悪に対する十分な警戒をするとともに、自治体「構造改革」のもとですすめられてきた施策を、憲法の視点から見直すことが大切です。
憲法を守る点で、石原都知事には大きな問題があります。「(憲法)99条(公務員の憲法尊重義務)違反で結構。私はあの憲法を認めない」と議会で公言し、「アメリカがイラクを世界平和のために淘汰するというのは間違った戦略とは思わない」とイラク攻撃を容認しました。さらに核兵器を保持せよと主張し、日本の武器輸出を禁止・制限している「武器輸出三原則」を「バカなルール」と発言する、平和の願いを敵視するこのような体質を許すわけにはいきません。石原都知事のもとで進められた、都立学校における日の丸・君が代の強制と不当な処分、防災に名を借りた自衛隊の防災訓練参加など、憲法を軽視する都政の抜本的な転換が求められています。
民主党による解釈改憲の動きが強まっています。「二度と赤紙を配るまい」と自治体労働者は平和を求めて戦後一貫して運動を進めてきました。平和を守ることは多くの住民の願いであり、自治体労働者の切実な要求です。あらためて、憲法擁護、自治権拡充の立場で、地方自治研究活動を推進することが求められています。
自治労連は、06年の第28回定期大会で「見直そう、問い直そう、仕事と住民の安全・安心」の運動を提起し、09年の第31回定期大会では「対話と提言」運動を拡充する方針を打ち出しています。これらの運動は、職場や地域からの取り組みを強めて、憲法、地方自治法に定められた「住民の福祉の増進」という自治体の本来の役割を取り戻す運動です。職場点検活動や仲間との討議で、住民本位の立場に立った自治体のあり方について具体的に各分野で政策提起が求められています。
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「構造改革」による自治体の変質と公的責任の縮小を許さない課題 職員定数削減、公務の市場化は、民間委託、地方独立行政法人化・指定管理者制度などで具体化してきています。公平性・専門性・継続性・安定性が確保されず、公務性・公共性が変質させられる事態が起こっています。 「構造改革」を着実にすすめる自治体労働者をつくるため、給与構造改革や人事考課制度などが持ち込まれてきています。このことにより過密・加重労働化がいっそうすすみ、組合員の働きがい、生きがいが奪われています。また、メンタルヘルス不全になる組合員が増加してきています。「構造改革」の問題点を、職場・地域で具体的につかみ、住民と共同して政策提言を行い、住民本位の都・区市町村政の実現をめざすことは、自治体労働者の重要な役割です。 |
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国の関与・統制を強める「道州制」などの国の動きに対して、地方自治を守る課題 「三位一体改革」で地方交付税が削減されたことで、地方財政は深刻な危機に陥っています。国は自治体の施策に直接介入し、その引き下げを迫るのではなく、住民のくらしと権利を守るためにナショナルミニマムの向上や、自治体が地域実態に応じた施策の展開を図れるように、財源保障を行うことを基本とすべきであり、その立場から政省令の制定や運用を、政府に求めることが必要です。 現業労働者の賃金・労働条件の大幅な引き下げ、全面的な民間委託推進は、住民生活を守る公務公共業務の縮小・後退をもたらしています。働きやすい職場にするために、集中改革プランによる職員削減の押し付けを打ち破る闘いが求められています。 「地方分権改革・道州制導入」を目論んで、新地方分権一括法が強行されようとしています。道州制の導入は、小規模自治体の支援機能を低下させ住民自治が否定されます。地方分権改革に名を借りた都道府県行政の空洞化を許さず、広域的な課題への対応や区市町村支援、社会的基盤の整備など都道府県機能の拡充が必要です。 これらの課題に対して住民自治を進める立場から検証し、運動を展開することが求められています。 |
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| (3) | 都政を都民の手に取り戻す課題 石原都政は、2016年オリンピックの開催を口実に、三環状道路の建設などの都市インフラの整備を優先課題とする一方、国に先駆けて保育の市場化を図る認証保育所制度を実施するなど、社会福祉を率先して切捨ててきました。都政が国の悪政から都民生活を守る防波堤にはならず、国の「構造改革・規制緩和」路線を先取りし、財界・大企業の意向に沿って悪政を進め、雇用・暮らし、平和、地方自治などを破壊し格差を拡大してきたものです。 都知事選挙を期に、都民本位の都政政策を実現するために、各分野での都知事選に向けての政策づくりが急がれます。 |
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住民本位の区市町村政確立のために 三位一体改革や石原都政の福祉切捨ての影響で、区市町村は困難を強いられています。 住民税フラット化や定率減税の廃止で、区市町村民税は多くの住民が増税となりました。住民はその怒りを区市町村の窓口にぶつけざるを得ません。高齢者を差別する後期高齢者医療制度の実施や健康保険証の取り上げ、生活保護の運用問題など住民生活に直結した課題は、区市町村の窓口で、具体的に対応しなければなりません。 それぞれの自治体ごとに、さまざまな問題が山積しています。このような課題での取り組みを通じて、基礎自治体としての役割を明確にし、自治体労働者が住民と一緒に自治体のあり方を考えることが求められています。安心して生活できる賃金、雇用不安の解消、子どもたちが健やかに育ち、高齢者をはじめみんなが安心して暮らせる自治体をめざし、要求を具体的に検討し、政策実現を迫る運動を展開することが求められています。 |
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6.取り組みの進め方
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各単組での体制と方針の確立 各単組で、自治研推進委員会の体制を整備し、単組ごとに方針を確立し、その実践を図ります。 また、定期的な委員会の開催により、活性化を促します。 |
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東京自治労連の推進体制 東京自治労連内に自治研推進委員会を設置し、自治体行財政委員会との連携を図りながら、自治制度や地方分権をめぐっての学習会や、単組での取り組みを交流します。 なお、東京自治労連自治研推進委員会は、第8回東京地方自治研究集会の取り組みを進めるために、分担して実行委員会の役割を担うものとします。 |
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| (3) | 職場自治研の推進 構造改革路線のもとで、地方税、国民健康保険、後期高齢者医療制度、生活保護をはじめとする諸制度の改悪が進み、本来の役割が変質し、住民の生存権を脅かすような状況が進行しています。これらを住民本位に転換していくことは、行政の現場を担う私たちの役割であるとともに、働きがいのある職場作りのためにも重要です。 職場における懇談会や学習会の開催を通じて、問題点と改善の方向を明らかにし、要求闘争につなげていく職場自治研活動が極めて重要となっています。 |
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(4)
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地域自治研の取り組み | |||||||
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| (5) | 第8回東京地方自治研究集会について 都政・区市町村政の民主化では、来年4月に統一地方選挙を控えており、とりわけ都知事選挙が格差と貧困に脅かされる都民生活と都政の現状を変革し、都民要求を前進させるために極めて重要です。憲法改悪の策動と「構造改革」路線を阻止する闘いの意思統一の場として第8回の東京地方自治研究集会を位置づけ、開催予定時期を遅らせて10年11月の開催の準備に入りました。 広範な労働組合、都民団体に呼びかけて、構造改革を進めてきた国政と、その国の方針に追随し先兵的役割を果たしてきた都政の問題点を具体的に明らかにし、くらし・福祉・教育の充実を願う多くの都民との共同の運動を発展させる集会を成功させることが求められています。 東京自治労連は東京地方自治研究集会 実行委員会の事務局団体として奮闘します。 |
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| (6) | 第10回地方自治研究全国集会の成功を 10月16日〜17日に岡山市内において第10回地方自治研究全国集会が開催予定です。第8回東京地方自治研究集会を準備する中で各傘下団体との協同で政策づくりを行い、その成果を全国に発信する機会として位置づけます。そして、全国の仲間から学びあい、自治研活動の新たな発展の機会として積極的に取り組みます。 |
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| (7) | その他の取り組み | |||||||
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