真の地方分権のための地方税財政改革に
向けた行動計画の具体化
2004.7.27
東京自治労連執行委員会
1 自治体の期待を裏切った「三位一体改革」
2003年12月の「三位一体の改革に関する政府・与党協議会」の合意で、「三位一体改革」が具体的に動き出しました。「三位一体改革」は補助金削減、税源移譲、地方交付税見直しの三つの改革を行おうとするものです。
しかし、2004年度の地方財政計画による各自治体の予算編成を通してその内容が明らかになりました。政府の進める「三位一体改革」は自治体の期待に応えるものではなく、自治体を深刻な財政危機に陥れ、住民の生活を一層困難にすることが明らかになりました。
政府の「三位一体改革」は自治体の自主性を強化し、住民参加による自治を発展させるものではなく、国の失政と赤字を地方に押しつけたものに他ならず、自治体を住民サービスの抑制、アウトソーシングなどさらに自治体リストラに追い込むものとなっています。
2004年度の予算編成では、各自治体は困難をかかえ、自治体によっては、住民サービスの低下や職員の賃金引下げ等を強いられる結果となりました。
引き続き、2004年6月3日に発表された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(骨太方針2004)では、「2005年度及び2006年度に行う3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向性を一体的に盛り込む。そのため、税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。」としています。また「三位一体の改革の全体像」を秋に先延ばししたのは、参院選を前にして、国民に負担を押し付けることの明示を避けたものです。「全体像」を示すべきだという声に耳をふさぎ、国民の審判を回避したことは、議会制民主主義の否定ともいえるものです。
現在のまま事態が推移するならば、「三位一体改革」の残り2年間で地方交付税の大幅な削減や予算規模の縮小によって、住民生活を支える施策のいっそうの後退をはじめ、自治体の存立に関わる重大な影響が出ることは明らかです。
2 2004年度における具体的な内容
(1) 国庫補助負担金の改革 1兆300億円程度
1)
公共事業関係の国庫補助負担金の廃止・縮減等
(「まちづくり交付金」に振り替えられた1,330億円を含む)
4,527億円
2) 児童保護費等負担金(公立保育所運営費)等の一般財源化
2,440億円
3) 義務教育費国庫補助負担金(退職手当・児童手当)の暫定的一般財源化
2,309億円
4) その他国庫補助負担金等の廃止・縮減等
1,000億円程度
(2) 税源移譲等 6,558億円
1) 所得譲与税 4,249億円
ア 平成16年度に一般財源化される児童保護費等負担金
(公立保育所運営費)等分 2,198億円
イ 平成15年度に三位一体改革の「芽出し」として行われた一般財源化分
(義務教育国庫負担金(共済費長期給付負担金等)等分)
2,051億円
2) 税源移譲予定特例交付金 2,309億円
(3) 地方交付税
1) 地方交付税の総額を抑制(前年度比12.0%減の21兆766億円)
2) 地方交付税算定の改革として、一部の補正係数や事業費補正、単位費用の算定等の
措置を講じる。
この措置により、補助金は特定目的に使途が制限されていましたが、所得譲与税は一般財源になるため、首長が自由に使える財源になりました。
たとえば、公立保育所国庫負担金について見てみます。地方交付税算定にあたり、国庫負担金の削減に伴い都道府県の負担金も削減し、都道府県の基準財政需要額を減らしました。区市町村は基準財政需要額に、廃止となった国と都道府県分もあわせて増額しました。所得譲与税は都道府県や市町村で基準財政収入額に見込みます。基準財政需要額と基準財政収入額の差し引き、不足額を地方交付税で交付します。
都と23区では、合算規定により不交付団体となり、地方交付税は交付されていません。市町村では地方交付税は単独で計算されます。
都は従来から地方交付税不交付団体であるがために、所得譲与税201億円を受け取るだけの形になりました。
23区については、都と同様に地方交付税不交付団体ではありますが、基準財政需要額に国の負担金分139億円や都の負担金分72億円を上乗せし、基準収入額には、所得譲与税136億を見込むことになりました。一方で、2004年度都区財政調整制度により、法人都民税の市町村民税相当分に、増が見込まれ、調整三税計の52%で80億円の増収になる見込みです。
調整三税の52%は23区の財源であるはずですが、増収部分をその補填に使われてしまった結果となりました。
3 今後の予想される展開
三位一体改革の中で、国の説明責任を果たす意味からも、その内容を逐次明らかにさせ、地方の意見を十分に反映させる必要があります。
税源移譲は、所得税と住民税の間で行われようとしています。現在(都民税と特別区民税合計で、累進で5%(都民税分は2%)、10%(都民税分は2%)、13%(都民税分は3%))の税率を、住民税のフラット化と称して、一律10%を検討しています。高額部分の3%部分については、逆に、国へ移譲させるとしていますが、所得税の減税については不明瞭な点が数多くみられます。
地方交付税については、私たちは、大都市の実情に即した基準財政需要額の算定を求めてきました。特に特別区は原則として各区ごとに算定すべきであると主張してきました。超過負担を無くし、地域の実情に即した地方交付税を確立する必要があります。
4 私たちの取組みの基本的な考え方
(1) 三位一体改革の名目で、国家財政の破綻を地方自治体に押し付けないで、地方自治 拡充の立場で地方税財政の拡充強化をはかること。
(2) 憲法で保障している国のナシヨナルミニマムの実施の確立を基本に、税財政構造を 構築すべきであること。
(3) 税源移譲にあたっては、所得の再配分を基本にして、所得税を中心とした基幹税を 先行して行うこと。
(4) 地方交付税の再編にあたっては、大都市の実情にあわせた基準財政需要額を算定し、
財源保障機能と財源調整機能を充実させること。
(5) 低所得者に対する住民税の均等割の引き上げや対象の拡大、また、消費税を増税す るのではなく、むしろ縮減または廃止し、大企業や高所得者への課税を強化すること。
5 当面の具体的な取り組み
自治労連の方針で、全国的に運動を進めると共に、大都市の実情に即して具体的な運動を進めます。
(1) 全国的な視野から自治労連の提起する個人署名運動や自治体要請行動を進める。
1) 所得税を中心とした基幹税による大幅な税源移譲を先に行うこと。
2) 国庫補助負担金については、次のようにすること。
ア) 国がナショナルミニマムを保障するべき義務教育国庫負担金、生活保護責負担金、
保育所運営責負担金などを削減・縮小しないこと。
イ) 国庫補助負担金の見直しにあたっては、地方が主体となって実施する必要がある
ものは全額税源を移譲すること。
3)地方交付税は、税源保障機能と財政調整機能を併せ持つものとして堅持すること。地
方交付税の削減を行わないこと。
4) 改革を進めるにあたっては、地方の声をよく聞くようにすること。
(2)都に対して(主として、東京自治労連と自治労連都庁職)
来年度の予算編成にあたって、国の補助金の打ち切りを口実に、都の補助金を打ち切らないで、都民生活の向上のための施策は、都の独自施策として、継続強化する様に働きかけを行う。
(3)区市町村に対して(主として東京自治労連と市区職労)
補助金の縮減を理由に、福祉・教育の切り捨てるのではなく、所得譲与税などの動向を見極め、 住民の福祉・教育を充実させる政策展開を図るように働きかける。
(4)都民に対して
(2)(3)で明らかになる住民や基礎的自治体いじめの「国の三位一体改革」の問題点を
指摘し、国や国に追随する自治体の不当性を世論に訴える運動を展開するとことと平行して、 住民本位の地方自治・地方財政のあり方を追求する。