認定こども園問題での取り組みの強化へ向けて
―新たな情勢の下で、公的保育制度崩しを許さない闘いを進めよう―
2008年5月14日
東京自治労連中央執行委員会
 「認定こども園」は、本年4月時点で都内14自治体で設立されています。
 政府・財界は、認定こども園を公的保育制度解体へ向けた突破口として位置付け、その積極的推進をはかっているとともに、公的保育解体へ向けた先導的役割を果たす東京都の姿勢のもとで、更なる設置拡大が懸念されます。
 認定こども園の法制化及び都条例制定時の闘いを踏まえて、各自治体における具体的な認定こども園設立問題に対して、対応の具体化と強化を図っていくものです。

1 認定こども園の基本的な問題点
(1)公的保育制度解体へむけた突破口としての認定こども園
 2006年6月9日に「就学前のこどもに対する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立し、@「幼保連携型」(幼稚園と保育所が連携)、A「幼稚園型」(幼稚園が保育的機能を提供)、B「保育所型」(保育所が幼稚園の機能を提供)、C「地方裁量型」(認可外施設が母体となる)の4類型で、新たに「認定こども園」が創設されました。
 政府・財界は、保育における公的責任制度解体と保育の市場化へむけた攻撃を推し進めてきています。
 しかし、私たちの闘いの中で、現時点においても児童福祉法24条に基づいて、行政が責任を負う制度として存続し、行政の責任で保育に欠ける子どもに対し入所を決定し、公費により保育提供を行っており、保育料も応能負担としています。
 このため、政府・財界は、公的保育解体と市場化へ向けて、「事業者と利用者の直接契約で、入所決定は事業者が行う」「保育料は事業者の自由設定」であることを最大の特徴とする認定こども園を制度化したものです。

(2)公的保育解体へ向けた先導役としての東京都の不当な対応
 「認定こども園」については、その認定権限(認定基準策定と認定権限を併せ持つ)を都道府県に対して集中させており、具体的な施設認定基準策定が都道府県条例に委ねられました。
 2006年12月15日の都議会本会議において、「認定こども園の認定基準に関する条例」が採択されましたが、全国的にもみても不当な条例内容であり、東京都当局は公的保育解体の先導役としての不当な対応を示しています。
 具体的認定基準は条例に盛り込まず、「規則」「要綱」を通じて、職員配置・職員資格・施設設備など国が示した指針の水準をことごとく下回る水準としています。
 さらに、補助金制度を通じて、「認証保育所」と「私立幼稚園」を認定こども園に誘導する恣意的な政策を導入しています。

2 この間の東京自治労連の闘い
 東京自治労連は、政府の認定こども園創設の狙いを明らかにし、対政府闘争に結集するとともに、独自の都議会各会派要請行動を実施するなど東京都条例制定へ向けた取り組みを重視してきました。
 また、条例制定時には、見解と今後の具体的な取り組み課題を示してきたものです。
 しかし、具体的に都内各自治体において認定こども園が設立されてきている実態と、以下に示すような政府の認定こども園推進方針のもとで、これに対する具体的な対応を確立し、取り組みの一層の強化をはかることが求められます。

3 認定こども園の積極的推進をはかる政府
 本年1月の福田首相による施政方針演説では、「新待機児ゼロ作戦」の柱に「保育サービスの量的拡大と提供手段の多様化」を重点項目に掲げ、夏までに「認定こども園に対する支援策」を具体化するとしています。
 そして、3月25日に閣議決定された「規制改革推進のための3ヵ年計画(改定)」では、「保育分野」の最初に「認定こども園の普及促進のための取組」を位置付け、その積極的推進を打ち出しています。
 そして、「保育制度改革」に位置付ける「直接契約・直接補助方式導入」「保育所の入所規準等に係る見直し」では、いずれも「認定こども園の実施状況等を踏まえて検討」としており、公的保育制度解体の突破口としての位置づけを行っています。
 また、閣議決定に先立つ07年12月の規制改革推進会議の答申では、認定こども園制度が、文部科学省と厚生労働省にまたがるために、事務などが煩雑化していることを取り上げ、子ども施策を「内閣府に一元化」することまで取り上げています。
 
4 都内自治体における認定こども園設置実態
(1)都内14自治体で設置
 認定こども園は、07年8月には、全国で105ヵ所(幼保連携推進室調べ)でしたが、08年4月には、全国40都道府県で229ヵ所(雑誌「遊育」調べ)と倍増しています。
 東京都内では、07年10月には10ヵ所でしたが、08年4月に新たに9ヵ所(3区、6市)が開設され、19ヵ所に達しています。
 設置自治体は、14自治体で、世田谷区3園、品川区3園、小平市2園、新宿・杉並・板橋・台東・江戸川区・八王子・町田・日野・清瀬・東久留米・羽村市に各1園です。
 現時点においては、19園にとどまっていますが、この他に幼稚園と認可保育所の機能を兼ね備えた幼保一体型施設として足立・品川・文京・荒川区に5施設存在するとともに、新宿区では、隣接する幼稚園と保育所で幼保連携事業が行なわれており、政府や東京都の動向のもとで予断は許されません。
 また、類型別設定状況は、幼保連携型が4園、幼稚園型が9園、保育所型が3園、地方裁量型が3園となっています。
 地方裁量型はいずれも認証保育所からの認定であり、幼稚園型は、全て私立幼稚園であり、幼稚園の中に保育所機能を内包させた単独型が多数です。
 これに対して、幼保連携型は、公立幼稚園と公立保育所を合体させた1園と、公立幼稚園を転用した3園。保育所型は全て品川区の公立保育園であり、自治体自らが認定こども園設立を推し進めている状況がみられており、自治体労働組合としての具体的な対応が求められています。

(2)保育内容にも大きな影響
 現場の実態については、必ずしも十分な把握が出来ていませんが、いくつかの報告によると、保育内容に大きな影響が懸念される実態が見られます。
 開園式における日の丸掲揚・君が代斉唱の実施、園服や上履きの着用義務付け、施設職員以外による絵画・体育の指導など保育園との違いが目立ちます。
 また、「保育に欠ける子」(長時間利用児)が、別施設の保育室に登園し、幼稚園課程の時間だけ幼稚園に出かける、給食対応の子と弁当持参の子が一緒に昼食を取る、昼寝をする子としない子が一緒に過ごすなど幼保連携が有する問題点も明らかとなっています。
 さらに、クラス集団規模が大きいことが保育や職員の労働条件に大きな影響を与えています。

(3)自治体の有する保育に関わる義務が果たせない事態
 保育に欠ける子どもに対しては、児童福祉法第24条に基づき、行政が責任を負うものであり、入所決定は区市町村で実施されるものです。
 しかし、認定こども園は、施設直接入所であるため、その入所について行政の関与が無く、報告にとどまっています。
 保育料については、基本的に自由設定(届出は必要)であるため、応能負担は適用されず、さらに、給食費や園服などの保育料以外の負担が必要な場合があるなど、保護者負担は保育園よりも大きいと思われます。
 また、設置者は、保育料の滞納などを根拠として保護者に退園を求めることも可能となっています。

5 対応の基本〜攻撃の本質を踏まえた対応を基本としよう
 政府・財界による攻撃の本質は、公的保育制度解体・市場化にあります。
 具体的には、認定こども園を突破口として、「直接入所」「保育料自由設定」の導入と、規制改革3カ年計画における「保育制度改革」に位置付ける「保育所の最低基準の見直し」等を具体化することにあります。
 したがって、各自治体における認定こども園設置問題に対する具体的対応は、保育に欠ける子どもに対して「行政による入所決定」「保育料の応能負担」を適用し、職員配置・施設設備を含めて、現行の基準に基づく保育水準を確保することにあります。
 こうした各自治体における取組と、公的保育を守るための対政府・対都闘争を結合して取組を旺盛に展開しましょう。
 
6 具体的な取組
(1)認定こども園設立に対する対応
 認定こども園の設置計画に対する対応は、その位置づけと、認定こども園における保育実態を踏まえて設置に反対します。
 しかし、設置が具体化された場合は、「5 対応の基本」を踏まえた具体的な対応を図ります。
 特に、多くの場合、各自治体当局が認定こども園設立理由の一つとして「待機児解消策」として位置付けており、この点を踏まえた対応が必要です。
 「待機児」は「保育に欠ける子」にほかなりません。したがって、保育所に入所している「保育に欠ける子」と認定こども園に入所している「保育に欠ける子」との間で、諸条件に格差が生じることは問題です。
 現に、世田谷区では「保育に欠ける子」の保育料について、認可保育園の保育料を適用させているところもあり、こうした対応を基本として以下の基本要求に基づいて対応します。
 なお、公立幼稚園や公立保育所が認定こども園に移行する際は、職員の勤務条件に関わる問題でもあり、徹底した労使協議を行い、労使合意を基本とします。
@ 「保育に欠ける子」の入所決定・保育料適用については、認可保育所と同様の対応とすること。
A 認定こども園における「保育に欠ける子」の保育条件は、職員配置・施設設備を含めて認可保育園と同様とすること。

(2)認定こども園の実態把握と検証を進めます。
@ 認定こども園を設立している自治体の単組においては、認定こども園職員との懇談会を設定するなど、実態把握を進めます。特に、全国保育団体合同研究集会の地域実行委員会への参加を求め、地域全体で認定こども園の現状について交流・分析ができるように努めます。
A 各単組で行った認定こども園の実態把握内容を集約し、問題の把握と要求政策化を図ります。なお、第17回自治体に働く保育労働者の東京集会(6/1開催)の分科会を活用して、全都的な状況の把握に努めます。
B 認定こども園問題で東京都教職員組合・福祉保育労働組合東京地方本部など関係労組との懇談を進め、実態認識の共有化を図り、課題と要求・運動についての意思統一を進めます。
C 必要に応じて、保護者向け宣伝の具体化などを検討します。
D 各単組において、組織化も視野に公立幼稚園職員との懇談・共同を進めます。

(3)保育分野の構造改革路線と対決し、対政府・対都闘争を推進しよう
@ 政府・財界の動向を踏まえて、自治労連に結集して保育分野の構造改革路線に対する闘いを強化します。
A 「認定こども園の認定基準に関する条例」及び規則の具体的な改正を求める対都闘争を具体化します。
以 上