2008都区人事委員会勧告に対するコメント
2008年10月20日
東京自治労連書記長 荻原淳
 10月16日に東京都人事委員会、10月10日に特別区人事委員会が、08年の給与等の勧告及び報告を行いました。その内容は、国の総人件費削減に基づくもので極めて不当な勧告です。月例給は民間との較差を、東京都は民間より372円、0.09%高い、特別区は民間より75円、0.02%低いと勧告し、都は地域手当の支給率引上げに伴う引き下げ分と合わせて、給料月額を引き下げ、区においては月例給与の改定はなし、期末・勤勉手当(ボーナス)は民間の支給割合とおおむね均衡しているため、都区ともに改定なしと勧告しました。
 都区人事委員会勧告は、08春闘妥結結果(国民春闘共闘委員会の最終集計では、加重平均6720円(2.08%、額はプラスマイナス0)で3年連続前年を上回った民間賃金の引上げ)を全く反映せず、妥当性・納得性を欠くものとなっています。地域手当の支給割合の引き上げ(14.5%から16%)に伴う本給引き下げ分と、公民較差勧告分で、昇給カーブのフラット化を推進し、都は、平均△1.4%(初任給付近を0.0%から高齢層△1.8%)の給料表を提示、区は、平均△1.34%、最大△1.4%(初任給据え置き)月例給を引き下げました。
 初任給については、据え置きの勧告を行いましたが、扶養手当を含めた手当関係については、まったく改善されていません。
 勤務時間の短縮については、民間準拠を基本にしつつ、国等との均衡を図るため、1日あたり7時間45分、1週間あたり38時間45分に改定とし1日あたり15分の短縮を報告(意見)しました。しかし、区においては、「休息時間の早急な廃止を行う」ことが報告されました。
 また、国の人事院勧告やいくつかの政令市では、非常勤職員の給与等処遇改善「指針の策定」を言及しましたが、都区人事委員会は、全く触れず非正規労働者の処遇が社会問題となっている状況の中、今後の処遇改善の運動が求められます。
 今回の都人事委員会勧告は、総務省の圧力による賃金抑制路線に追随する不当な中身であり、人事委員会は労働基本権の代償措置としての役割を放棄し、第三者機関としての存在意義を投げ捨てるものであり、さらに労使交渉で決めるべき現業賃金について追加独自調査を行い、労使交渉に不当介入していることは到底容認できません。
 さらに、都では、教員給与については、小中学校と高等学校の教員給料表の一本化を勧告し、新しい教員給料表を設け職責による水準差を拡大し、これまで以上に昇級カーブのフラット化を進めています。新たに主任教諭の設置に伴う級を新設し、教育職場にも分断を持ち込んできました。また、行一の給料表で、1・2級を統合し8級制から7級制に改正し、「一職一級」の構成となり、職務・職責に応じた給料表構造の改革を推し進めました。
 具体的に、今回の勧告・報告には次の様な問題が含まれています。
 第一に、月例給は大企業が空前の大もうけをしている状況で、08年民間春闘結果を見ても、公務員給与は当然改善すべきです。さらに、昨年同様に、公民比較企業規模50人以上の調査対象事業所の割合をさらに拡大(都=06年:5.5%・07年15%・08年16.5% 区=06年:5.1%・07年15.5%・08年16.6%)し、政府の地方公務員賃金削減方針に追随した内容となっています。
 地域手当の引き上げは、現行14.5%を16%とし、それを理由として昇給カーブのフラット化を押し進め高齢層の減額率を高めました。本給の削減は退職金や年金に大きく影響します。さらに、地域手当の引き上げは都外・島しょ職場の格差を拡大させ不当な内容です。私たちの強い要求である本給繰り入れを直ちに実施すべきです。
 都においては、本年も不当な減額遡及である「所要の調整」を、2009年3月に支給される年度末手当で行うとしています。
 第二に一時金について、企業規模千人以上の調査で、都は民間の支給月数は4.93月、区は4.94月であるという結果が示されていますが、これら民間企業支給状況が正確に反映されていません。さらに「勤勉手当への成績率の反映にむけて取り組むべき」としていますが、さらなる成績率拡大には断固反対します。
 第三に勤務時間問題について、民間の平均所定労働時間が都では、1日あたり7時間40分、1週間38時間27分、区では、1日で7時間39分、1週間で38時間25分であったと報告されました。1日あたり15分の短縮は当然であり一刻も早い実施が求められています。また、区における不当な休息時間廃止の言及は、拘束時間の延長につながり極めて不満です。
 報告の中で、勤務時間の短縮等を行う場合において、国と同様に「行政サービスに支障を生じさせない適切な勤務体制の整備」「行政コストの増加を招かないこと」として、組織と職員の努力に委ねています。超過勤務の増加など労働強化させない対応が求められます。
 第四に人事制度について、区勧告では年功的処遇から、能力・業績及び職責に基づく人事・給与制度への転換を図ったとし、今後はその確立を目指すことを強調しています。しかし、民間企業での実態でも、成果主義的賃金制度については多くの問題点が指摘され制度の破綻が言われています。特に公務職場においては、公正かつ公平な行政を担うための保障として安定的な身分と生活保障を確保することが前提です。都勧告では、能力・業績主義をさらに推進するとしており、現行人事制度の抜本的改善には応えず、職員の働く意欲の低下をもたらすものです。
  今年の勧告でも、都においては、石原知事の造語「首都公務員」を人事委員会が使うなど、石原知事が進める都民犠牲・大企業の大規模開発優先の都政に迎合する姿勢を露骨に示していることは許されません。
 「制度は国準拠、水準は地域」として公務員賃金の引き下げを狙う「給与構造の改革」の押しつけに反対します。都区人事委員会勧告は、公務労働者だけでなく臨時、非常勤、関連労働者などすべての労働者、さらに、都給料表使用の三多摩の市町村や都並みの給与制度に移行しようとする市町村等にも影響を与えるものです。私たちは全都の仲間とともに、賃金・労働条件の改善を求め、現業賃金水準の大幅引下げ阻止など要求実現をめざして、2008年賃金確定闘争を組合員の団結を基礎に交渉組織の都労連・特区連とともに全力で闘います。
 同時に、国民と労働者犠牲の「構造改革」路線推進の突破口として公務員攻撃が一層強まるもとで、引き続き、自治労連とともに全国的な闘いを展開し、すべての労働者・住民と連帯し闘いを強化するものです。