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2009年2月18日 東京自治労連中央執行委員会 |
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国立市当局へ住基ネット接続を求める是正要求 総務省は2月13日、住民基本台帳ネットワーク(以下、住基ネットという)に接続していない国立市に対して是正要求を行うよう東京都に指示をしました。 これを受けた都当局は、16日に法的拘束力を持つ是正要求書を国立市に提出しています。 同じく、住基ネットに接続していない福島県矢祭町に対しても13日に福島県が接続を求める事態となっています。 是正指導に強く抗議します 東京自治労連および東京自治労連加盟の国立市職員組合も推薦決定を行っている関口博国立市長は、「住基ネットは情報漏えいの危険性がある。住民の生命財産を守るため、市長による適切な管理を規定した住基法に基づいて切断した。」と反論しています。 東京自治労連は、この間、住基ネットに反対し、その廃止を求めてきていますが、改めて住基ネットの問題点を以下のとおり指摘し、政府による是正指導に強く抗議するものです。 住民の利便性向上になっていない 第1の問題点は、制度導入時に政府が協調した住民の利便性向上になっていないことです。 住基カード発行枚数は、約234万枚(2008年3月31日現在)と、15歳以上人口の1.9%にすぎず、利便性向上として宣伝された「住民票写しの広域交付」などへの住民の需要が極めて少ないことを示しています。 プライバシー侵害の危険性 第2の問題点は、プライバシー侵害の危険性です。 2006年3月の北海道斜里町における住基ネットのパスワードを含む行政情報流出、福島県岩代町の全住民約9600人分の住基システムバックアップデータの盗難事件など、データ漏洩事件も現に発生しており、司法等も次のような判断を示しています。 金沢地裁判決(2005年5月30日)では、「住基ネットは住民に相当深刻なプライバシーの権利の侵害をもたらすもの」「憲法13条に違反する」として、「原告らに関する本人確認情報を磁気ディスクから削除せよ」としています。 また、目黒区個人情報審査会(2003年7月17日)も、「法よりも憲法13条の幸福追求権を優先すべき。国の個人情報保護法や行政機関の保有する個人情報保護に関する法律も、条例の期待する個人情報保護措置にはあたらない。」として、住民の訴えを認め、外部提供しないよう答申しています。 そもそも、住基ネットによる個人情報管理は、現在、推進されている住民票閲覧規制の動きに逆行するものであり、住民のプライバシー権を擁護する上で、抜本的な見直しが求められます。 歯止め掛からぬ政府・都道府県の利用 第3の問題点は、政府および都道府県による安易な利用対象業務の拡大です。 住基ネットの個人情報利用対象業務が政府によって安易に拡大されています。 2007年8月から2008年7月までの情報提供件数は約1億500万件であり、初年度(2002年8月から2003年7月)の6.9倍に達しています。 また、都税事務所で滞納者への納付勧奨を委託している民間事業者が催告書等が返戻された場合、住基ネット端末を利用して住所検索をしている(東京税務レポート2009年新年号記載)など、民間事業者利用が実施されている事態に至っています。 地方自治を否定する措置 第4の問題点は、地方自治の否定であることです。 是正の要求は、地方自治法第245条の5に基づく対応であり、法的拘束力を有していますが、「法令の規定に違反」または「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行われるものです。 しかし、自治体の自主性・自立性を尊重すべき自治事務に対する安易な関与は地方自治の本旨に反するものです。 そもそも、住基ネットは自治体のシステムであり、自治体に対して膨大な維持費負担を強要しながら、裁量権が自治体に全く与えられていないという地方自治否定のシステムです。 背景に国民総背番号制の思惑 今回の措置の背景には、政府による転用の思惑が見られます。 住基ネット稼動から6年以上も経過したこの時期に今回の措置が行われたことに対して、新聞報道においても、「医療費抑制や税収落ち込みで導入論が高まっている社会保障番号や納税者番号として、既に国民全員に割り当てている住基ネット番号を転用しやすいよう、あらかじめ障害を取り除く狙いがあるのでは」と指摘しています。 このような国民総背番号制へ向けた下地作りに対して、強く抗議するものです。 私たちは、政府等に対して、今回の措置の撤回を求めるとともに、抜本的な改善へ向けて引き続き取り組みを進めていくものです。 |
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以上 |