東京公務労働者の2004年勧告に対する要求書
東京に働く国・地方公務労働者は、5年連続の年収減少、2年連続の月例給引き下げのもと、生活の困難さを増しており、併せて社会保障制度、税制の改悪などが加わり、将来不安も増大しています。
また、公務員賃金の引き下げが、関連する労働者をはじめ民間賃金にも影響をおよぼし、それがさらなる公務員賃金ダウンにつながるという「悪循環」が生じています。そのことが勤労者世帯の収入を5年連続で減少させ、個人消費を冷え込ませ、地域経済をも疲弊させています。
公務員賃金のこのような社会的影響力をふまえれば、不況打開にむけた積極的な賃金改善こそが必要であり、これ以上の賃下げは断じて認められません。
一方、大幅な定員削減のもと、職場では長時間・超過密労働が強いられ、過労死・自殺の発生やメンタル面での健康破壊が広がっていることは看過できない問題です。実効ある超過勤務規制をはじめ労働条件改善にむけた具体的な施策が緊急に求められています。
私たちは、以上の認識に立ち、公務労働者の生活・労働条件の改善、諸権利の拡充、国民・住民サービスの充実をめざす立場から、貴院に対し2004年勧告にむけた要求書を提出いたします。貴職が「第三者機関」の責任者としての使命に立ち誠意ある回答を行うよう強く求めるものです。
記
1.生活が改善できる水準に賃金を引き上げること。併せて、臨時・非常勤(教)職員については、常勤職員との均等待遇を図ること。また、委託関連労働者など公務職場に働く労働者の最低賃金を時間給1,000円以上とすること。
2.賃金改善にあたっては、初任給を政策的に改善するとともに、職員の年齢段階の生計費に応じた賃金水準とすること。
3.官(公)民賃金比較にあたっては、団体交渉によって賃金・労働条件を決定し、かつ企業規模1000人以上と比較すること。また、勤続・経験年数の加味、民間一時金水準の厳正な把握など、比較方法の抜本的な改善をはかること。
4.調整手当を本俸に繰り入れるとともに、大都市東京の生活実態・民間実態に相応しく賃金水準を改善すること。
5.賃金格差拡大や能力・業績給強化につながる給与制度、俸給構造の見直しをおこなわないこと。また、本俸と諸手当の配分比率や定期昇給制度の改悪はおこなわず、高齢者の昇給停止制度は廃止すること。
6.一時金については、支給月数の引き上げをはかり、期末手当に一本化すること。
7.公立学校教員給与の国準拠制が廃止になったもとでも、中央人事行政機関として、「人事行政の公正の確保及び職員の利益保護」の立場で、教員給与の最低水準を示すこと。
また、行政大学校の教員等について、現行賃金水準を下回ることがないように適正に処遇すること。
8.すべての公務職場における年間総実労働1,800時間を早期に達成をするため、所定労働時間を1日7時間、週35時間とすること。また、超過勤務に関して、上限を1日2時間、1週5時間、月20時間、年間120時間以内と制限すること。併せて勤務時間管理を徹底するとともに不払い残業をなくすこと。
9.公務員制度「改革」については、ILO(結社の自由委員会第329、331次報告)の勧告を遵守し、「公務員改革大綱」を撤回するとともに、労働組合との協議・合意を前提に労働基本権の回復をはじめ国際労働基準に合致した民主的な公務員制度を確立するように政府に働きかけること。
以 上
2004年5月28日
東京地評公務部会、人事院等への要請行動報告(概要)
1.東京都人事委員会要請
(1) 日時 2004年5月27日(木) 9時30分〜10時40分
(2) 対応 松田任用公平部長、村藤任用給与主査
(3) 回答概要
・100人規模以上の企業、50人以上の事業所995事業所(昨年985)に対して民間賃金調査を開始している。賃金実態の把握に努め精確な比較をしていきたい。
また、厳しい経済財政状況下の動向を把握するため、ベア、定昇制度、初任給の増減、年俸制などの賃金制度、勤務時間制度、雇用調整策などの制度調査を行っている。
・年齢段階の生計費に応じた賃金については、「東京都生計分析調査報告」などをもとに適切に対応していく。
・調整手当の本俸繰り入れについては、本俸と手当の関係を総合的に判断していくことが必要であり、また国の地域給の動向を見極める必要もあり幅広く検討を行う。
・俸給表構造の見直しについては、公務員制度改革の動きなどもあり国や他団体の動向を見極めつつ、考え方を検討していくことになる。
・特別給は、今年の夏の支給状況を勧告に反映させるため、調査の協力を事業所にお願いしている。より精確な把握に努めていきたい。
・教員給与表については、現行の俸給表、従来の経緯、周辺の状況を踏まえ都として適正な水準を検討していく。他団体には全国水準維持という考えもあり、ぎりぎりまでの調整が必要と考えている。
・勤務時間については、実労働時間短縮にむけて検討していきたい。
・公務員制度改革は、国が本年中に法案の上程をめざしており、地公制度についても同時期に法改正めざし検討していると言われる。引き続き内容の把握努め研究していきたい。
・勧告の時期は、例年ぐらいになるのではないか。
(追及に応えて)
・国との均衡問題については、都人事委員会としては、東京の公民比較を適正に行って勧告していると考えている。6月4日にも「骨太方針」が出されると言われるが、地域給がどのように触れられるのか、それに伴って本俸、手当の配分を変える必要があるのか、その影響を注視しているところ。
・教員給与は、従来と違う。都内の私立小中教員給与などについては調査は行っていない。教員給与について、何を基準とするかなどぎりぎりまで検討がかかることになる。
2.特別区人事委員会要請
(1) 日時 2004年5月27日(木) 11時30分〜12時20分
(2) 対応 綾部給与制度係長
(3) 回答概要
・大企業の利益が過去最高になったなどの報道のように明るい兆しもあるが、一方春闘は定昇維持要求も多い。定昇見直し企業も増加しており、厳しい賃金状況と認識している。
・現在、民調を行っており、民間実態を踏まえて、かつ他団体の意見などを聞きつつ、第三者機関として責務を果たしていきたい。
・臨時、非常勤は関与できるが、委託・関連労働者は関与が難しい。初任給は考慮してきた。公務は他より下げ幅が小さいと思うが、民間の動向を注視している。
・1000人規模以上を調査対象にということは、人事院による全国統一調査である面もあり単独では判断できるものではない。
・調整手当に関しては、地域給の問題が動いており、それがどのように関連してくるのかと考えている。
・能力、業績給については、民間企業において人事制度の切り替えが進んでおり、公務においてはどう進めるかを検討しているところ。方向としては、公務も能力、業績給の方向に進むべきと考えている。
・労働時間の短縮は1つの目標である。1日の勤務時間の見直しは、民間均衡が原則となる。今は難しいのでは。
(追及に応えて)
・都区別区人事委員会の調査事業所は910事業所である。
・教員給与の関係では、幼稚園教諭の問題があるが、都などの対応を見ながら、特別区としても検討していきたい。都は教員給与制度の研究をしているようだが、どうあるべきか模索の段階だ。
3.人事院要請
(1) 日時 2004年5月27日(木) 14時00分〜15時10分
(2) 対応 宮川総務課課長補佐、他1名
(3) 回答概要
・公務の賃金は、戦後30から40年は安く、これまでは民間に追いつくことが目標だった。民間準拠でやってきたが、バブル後は様相が変わった。経済や民間賃金がダウンしている時は、それを反映することは当然だ。人事院は第三者機関として存在しており、国の経済への影響や国民の事情を斟酌しつつ、慎重に行っていきたい。官民格差を意図的にプラス、マイナスすることはない。連続性のあることでもあり、慎重、緻密に行っていきたい。
・臨時・非常勤職員は、補助的な必要性により採用される。職員と々仕事はさせない原則であり、賃金を同じにすることはおかしいことになる。
・初任給は、民間調査の結果では大、中小企業間との格差、官民格差は少なくなっている。公務の初任給は十分改善されているのではないかと思っている。
・民間賃金比較の規模に関して、小企業と比較しろ、1000人以上にせよなど両論ある。民間のうち公務の業務、責任度合いなどと同等と考えられるものと賃金比較をしている。民間などには1人課長などもあるが、このようなケースは比較の対象とされず、除かれている。
・調整手当は、見直しの議論があるが懸念を抱く点もある。
・能力業績給への見直し作業の中にあるが、個人的意見を言えば個人の能力評価は難しい問題であると考えている。評価は現行制度でもなし得る面もあり、運用の問題と言うこともできる。改革推進事務局が見直し作業をしており、人事院はそれのサポートしている。職員団体の意見を聞きながら進めていきたい。
・一時金は、民間の実態が昨年の冬は悪く、今年の夏は持ち直す状況と聞いている。今年は間近の実態を反映できるように鋭意検討中である。企業に協力を要請しているところだが時間がかかる。また、勤勉をなくし期末1本化は難しい。
・教員給与は、自治体ごとに考えることになる。人事院として基準を示すかは関係者による検討が必要だ。人事院のものを参考とすることもあるのではないかと思う。
・超過勤務を少なくする努力をしている。超勤手当を生活給としている人も一部おり、そうでない人も多い。仕事のやり方の改善、管理者の意識改革が大きい。まずは、規制よりは組織の中で取り組むことが第一義だ。
・ILOの情報把握など対応をしている。労働基本権の回復は本当に労組にとって良いか。公務にとって良いか検討が必要。労働問題に時間がかかって、本来の仕事がおろそかになるのでは問題。
以 上