第3回労働安全衛生活動交流集会基調報告
2004年9月4日
東京自治労連中央執行委員会
はじめに
 昨年の夏以降、わが国を代表する製鉄所や精油所、タイヤ工場などにおいて重大な災害が続発しました。その背景として安全衛生担当部署の経験や知識の不足、職場点検の不充分さなどによって危険要因の洗出しがなされてないなどの問題点があります。また、東京労働局管内での立ち入り調査では、衛生管理者が法定数選任されていないなどの法定事項違反など安全衛生管理体制に不備がある事業場、安全衛生管理活動が低調である事業場が散見されたとありました。さらに使用者は健康管理などで労働者の自己責任論を展開しようとしています。
 こうした事態を受け、厚生労働省東京労働局は「全国安全週間」を前に「安全衛生管理活動の一層の促進について」を通知し、事業主に対して自ら安全衛生の確保に向けた決意の宣言と取り組みの実施を求めています。
 各単組でも労働安全衛生活動について、十分な取り組みを進めることを大会方針のなかで課題として位置づけ、これまでも取り組んできました。しかし、自治体職場でも、安全衛生管理者自らが「安全衛生委員会活動が低調」であることを指摘しているところもあります。
 今、職場は人員削減や目標管理などによる人事管理の強化、自治体リストラによって働きがいを見失いがちになったり、将来への不安が増大したりしています。しかし、私たちは自治体労働者として住民福祉の向上を常に念頭において仕事をしています。自治体労働者として働きがいをもち、安心して仕事を続けられるために労働組合として労働安全衛生活動の更なる実践が求められています。労働安全衛生委員会への取り組みなどはもとより職場巡回による健康、安全確認や労働安全衛生学習など日常的な活動を通じて、これまでの取り組みを更に具体的な活動として展開していきましょう。

1.集会の目的
 第3回労働安全衛生活動交流集会は、労働組合として労働安全衛生活動の意義を確認し、各単組・職場でのそれぞれの労安活動の実践を交流し学びあうことを基本に開催します。
(1) 各単組・職場での労働安全衛生活動の到達点をリアルに分析・整理し、交流することにより、それぞれの単組や職場での課題と要求、運動の方向性について前進をはかります。
(2) 労働安全衛生委員会における活動水準をひきあげる。とりわけ、事業所委員会における活動を活性化させることをめざす。労働安全衛生活動に必要な法律や厚労省通達や指針、要綱の内容や活用方法に習熟し、その具体化をめざします。
(3) 健康アンケートと職種ごとの分析データーに表れた特徴や傾向を職場・労働条件の改善に結びつける取り組みや交流を行います。
(4) 職業病や公務災害、労働災害の発生防止について経験交流、活動交流をめざします。

2.東京の公務労働者の労働と生活の状況
1)2004年春闘アンケートなどからの分析
 2004年春闘アンケートのサービス残業調査(2003年10月)では「ない」が31.9%、「10時間未満」43.0%です。「残業有り」回答者の平均残業時間は11.81時間でした。一方で「40〜60時間未満」1.3%、「60~100時間未満」0.4%、「100時間以上」0.5%など一部に長時間勤務者がいること。そうした中で、問題なのはサービス残業が「ある」との回答が45.9%にもなっており、「看護師・助産師」85.7%、「幼稚園教諭」74.1%、「保育士」70.6%、「研究職」67.0%などからの回答が高い比率となっています。 
 普段の仕事で4人に3人が日常的に疲れていると回答。「毎日非常に疲れる」26.0%が最も多く、前年に比べ増えています。しかも、平均値を超えて回答しているのが20代・30代・40代の働き盛りからの回答であったことが特徴です。その原因については、「仕事の忙しさ、激しさ」40.0%、「仕事の困難さ、難しさ」22.4%、ついで「職場の人間関係」16.5%となっています。「仕事の忙しさ、激しさ」の平均値以上を回答の職種は「看護師・助産師」58.7%、「給食調理」50.7%、「保育士」48.4%。「仕事の困難さ、難しさ」は「医師」50.0%、「保健師」47.7%、「家庭奉仕介護指導・ホームヘルパー」46.7%。「職場の人間関係」では「学童擁護」28.2%、「用務・作業」23.6%、「自動車運転・海技」23.1%。少数職種が高率の傾向です。
 健康に働く上での改善点として、「人員の拡充」62.7%、「職場の環境改善」39.2%、「業務量の削減」34.6%、「労働時間の短縮」28.4%、「職場人間関係の改善」23.8%でした。
 自治体リストラの推進、退職者不補充や少数精鋭の定数管理、成績主義の導入で自治体のあらゆる職場には余裕がなくなり、いのちと健康をすり減らしながらも懸命に精勤している労働者がおり、さまざまな要求が蓄積しているといえます。
 一年間の通院状況では「風邪」が41.2%で第一位ですが、以下「頚肩腕・腰痛」24.3%(女性は27.9%)、「その他の病気」17.6%、「眼科」16.7%、精神疾患2.7%など、健康が蝕まれている実態を反映しています。

2)職場の安全衛生状況
(1) 一般健康診断、健康教室の状況
東京都職員の場合「東京都職員の健康管理の状況」(2002年度)によれば、定期健康診断の一般検診における有所見率は46.6%(前年47.0%、以下前年を略す)です。40歳代で約49.7%となり、50歳代63.5%、60歳代72.0%と加齢とともに上昇しています。その原因は「肝機能低下」「高血圧」「高脂血症」となっています。
安全衛生活動状況調査(以下、調査)での受診率(15年度)は、90%台18委員会、80%台10委員会となって高率です。有所見率は16.4%から90.0%までとバラツキがありました。厚生労働省東京労働局の調査によると有所見率は45.9%です。ほとんどの委員会で、この所見率をうわまわっていました。
健康教室等の実施は品川区17回、目黒区10回が突出していますが、2回が10委員会、1回が5委員会です。テーマは「生活習慣病など健康問題」が17件、「ストレス、メンタルヘルス」が13件、「腰痛・肩こり」6件、「喫煙問題」3件、「安全衛生組織」3件などとなっており、職場と労働者の状況、関心にあわせて設定されています。
(2) 病気・休職者の状況
 30日以上の病休者(知事部局)は667人(674人)で羅患率(対千人比)は21.0%(21.1%)です。疾病別の割合で第1位が「精神障害」37.2%(32.2%)、第2位が「新生物」17.7%(22.0%)、第3位が「損傷・中毒症」9.0%(8.9%)の順となっています。「精神障害」は248名で年代別では20歳代55人、30歳代90人、40歳代46人、50歳代57人となっています。調査では、病休者総数と「15日以上30日未満」、「30日以上」の数値が出ていますが、その数値の変化と疾病原因については精神障害が第一位となっていることに特徴があります。
 都では管理監督者に対する精神保健講習会を2002年度2回開催し、666人が受講したとしています。また職員への精神保健相談を2002年度102件(132件)のべ面接回数907回(578回)実施したとしています。99年度から制度化した職場復帰訓練は24人(22人)の申請に対し終了者18人(16人)、予防指導(復職後の健康管理)を45人(73人)のべ305回(461回)を実施したとしています。この状況はメンタルヘルス問題が当局にとっても重要な問題になっていることの反映です。
(3) 公務・労働災害、通勤災害
 公務災害発生状況を見ると都の知事部局では391件(400件)でした。発生件数は93年474件から増減を繰り返しながら400件前後で推移しています。局別では病院経営本部が186件(前年は衛生局219件)で発生件数が最も多く、他の局は前年と同水準です。発生原因別では過失等によるもので勤務場所での「施設内」が84.4%(85.3%)です。また調査では、水道局37(45)件、下水道局16(23)件、多摩市6(11)件、区関係では世田谷区21件から板橋区の68件の範囲で発生となっています。労働災害は知事部局の統計がなく、水道局4(2)件、下水道局20(1)件、多摩市3(9)件、国立市3件、区では板橋区の1件から目黒区の50件の範囲で発生しています。
 申請件数が発生件数を下回っている自治体もあります。たとえ軽徴であっても基金に申請する原則を確認する必要があります。
 通勤災害は知事部局で28件(前年26件、以下前年略)、水道5(8)件、下水道局1(3)件、多摩市2(2)件、国立市 件(1件)、区では墨田区0(4)件から江東区11件の範囲で発生しています。

3.労働安全衛生活動の現状ととりくみ
1)各局・区・市(単組・支部)の労働安全衛生委員会の状況
 2003年の労働安全衛生活動状況調査(以下、調査)によれば、回答のあった30の委員会で年6回以上開催は豊島区10回、多摩都税9回など7委員会でした。すべてが定期開催です。年3〜5回は18委員会、内訳では定期開催6、不定期開催11となっています。年1〜2回開催は5委員会で、定期開催2、不定期開催3となっています。年6回、2ヶ月に1回ともなれば定期開催としなければ運営に支障が出るということです。都の病院関係では月1回の労働安全衛生委員会が開かれています。頻繁に開かれているだけに、職場の冷房の効き具合や職場環境の整理整頓の問題まできめ細かく論議されています。
 産業医は毎回出席が29委員会、欠席は下水道局安全衛生委員会のみでした。産業医の職場巡視活動は実施23委員会、未実施7委員会です。墨田区、板橋区では年2回も取り組まれています。
労働安全衛生委員会の内容について組合ニュース、機関紙で知らせているが11組合、回覧によるが3組合でした。労働組合の労働安全衛生活動に対する「推進委員会」などの設置は7組合にとどまり、労働安全衛生委員会の前に会議や打ち合わせなどにとどまっている状況です。こうした中で、目黒区職労では組合選出側労働安全衛生委員名で安全衛生委員会事務局あてに要求書を出しています。安全衛生委員会をどう活用するかで、大切なことです。
 さらに、議事録などによれば多くの労働安全衛生委員会は約1時間程度の審議時間が圧倒的です。教訓的なのはその少ない審議時間のなかで、組合選出委員が超勤実態の調査の把握を迫り実行させる(江東)など問題提起し、当局にいわば宿題を出し、問題解決に努力している取り組みがあることです。 

2)各単組や支部における労働安全衛生分野の取り組みについて(略)・・別表1

3)主要な課題に対する取り組みについて
(1) 不払い超勤の解消など労働時間短縮の取り組み
  豊島区では、労働安全衛生委員会で「長時間労働による健康障害防止のための総合対策」を決定しました。この「総合対策」では、所属長や人事部、職員のそれぞれとりくむべき事項を明らかにしています。また、ノー残業ウィーク・デーの設定と徹底、労働組合での超勤記帳・記録運動などの取り組みを進めた単組もありました。2004年度は「産業医による保健指導などの過重労働防止条項」を盛り込んだ36協定を締結した職場もあります。
(2) 人員要求や職場環境改善の取り組み
  本庁舎レイアウト改善(豊島)や総合庁舎の環境改善とその水準の外庁職場への適用要求(目黒)、休憩室要望(豊島、品川)などすべての単組・支部での取り組みがありました。これらの課題への取り組みは、労働安全衛生分野というよりは、予算要求時期やその確定時期、組織機構の改編などに対して労働組合運動の主要課題として取り組まれました。その基礎にあるのが労働安全衛生法に関連する法律、規定によるものです。職場環境改善では職場巡視活動などの重要性が指摘されています。当該職場で長い間に出来上がった秩序をもう一度労働安全衛生基準によって見直すことでのメリットとともに、板橋区の4S(整理、整頓、清掃、清潔)による点検も大切な視点です。
(3) 新VDTガイドラインの作業基準策定、作業状況調査活動などの取り組み
 多くのところで13、14年度にかけて策定されています。安全衛生活動状況調査(以下、調査)によれば、VDT作業基準の「作成済み」8、「作成中」2、「未作成」13となっていますが、「未作成」13はすべて事業所系のものです。二つの問題があります。一つはVDT検診の内容変更があり、一般健康診断のなかで問診形式に変わり、問題がある場合に二次検診で精密検査されるというものです。調査では14箇所が一般検診のなかで実施され検査項目は減少(9箇所)していることが労働者に不安・不満を与えています。どのような健康診断を行わせるか、ガイドライン策定のなかでどう扱われたかなど今後の見直しへの課題となっています。もう一つは策定されたガイドラインを職場に適用する問題です。調査では「作業状況調査」を「実施」が15箇所となっています。税務の職場では、作業時間についてのアンケートをとっています。中央で決められた作業基準を事業所段階でさらに具体化させる取り組みとして注目していきたいものです。
(4) 受動喫煙防止対策など喫煙・分煙対策
 受動喫煙を防止するために公共施設は全面禁煙とすべきです。禁煙化についても労働組合側から、職員の協力と禁煙教育の重要性を指摘してきました。と同時に当局は喫煙施設の整備も行うべきです。喫煙場所は本庁舎でも少なく、住民と同一であったり雨ざらしの場所であったり(足立、墨田など)の問題がありました。当局提案に対し労働組合は、当局の安易な姿勢を改めるよう厳しく求めてきています。

4.労働安全衛生活動の意義と役割について
1)労働安全衛生活動の意義と役割 
 労働災害が続発するなかで1972年に労働安全衛生法(以下、労安法)が労基法42条から独立して制定されました。労働安全衛生法は安全衛生にかかわる最低基準を定めたものです。労働組合のいのちと健康にかかわる運動と一体で作り上げてきました。
 労安法は自治体職場では現業で全面適用、非現業で「労災防止計画」(第2章)、「司法警察員」(第92条)を除いて適用されます。労安法第3条は使用者に「職場における労働条件の安全と健康を確保する責任」と使用者の責任を謳っています。50人以上の事業場では安全委員会及び衛生委員会(それぞれの委員会設置に代えて安全衛生委員会でも可。第17、18、19条)の設置を義務付け、毎月1回以上の開催を規定しています。
 委員会の調査審議事項は、
(1) 労働者の危険・健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
(2) 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
(3) 労働災害の原因及び再発防止対策に関すること
(4) 労働者の危険防止、健康障害防止及び健康の保持増進に関する重要事項
と定めています。あらゆる事項が審議事項となり得ます。
 しかし、限界もあります。
 衛生管理者は週1回以上、産業医は月に1回の職場巡視を義務付けていますが、実際は多くのところで実施されていません。その要因として各段階における総括安全衛生管理者および安全管理者、労働安全衛生委員が労使ともに多くの役職、任務を兼ねていることにあります。労働組合による開催の働きかけが重要です。
 また、安全衛生委員会には議決条項がなく全会一致制です。その決定も使用者・事業主に「勧告」にとどまっています。
 さらに、特に事業所の労働安全衛生委員会では衛生管理者、安全衛生推進者、各作業主任者、労働安全衛生委員は同じ事業所に配置されています。対等平等で議論ができる保障が必要です。
 労働安全衛生に関する労働条件の変更は日常的に労働組合に提示され交渉され解決されることが多くあります。そこで、労安活動を「労働組合運動の重要な一翼」と位置付けていても、労資交渉と渾然一体となった組合活動のなかに埋没する危険性があります。労働安全衛生委員会活動や公務災害事故などに限定することなく、職場巡回、労働安全衛生学習など日常の活動として取り組むことが必要です。

2)労働安全衛生活動に生かすべき通知・指針及びその趣旨
 近年、厚労省は労動条件に関する重要な通知や指針、要綱などをだしています。
 ◇「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」2000年8月
 趣旨:事業場における労働者の心の健康の保持増進を図るため、事業者が行うことが望ましい基本的な措置(メンタルヘルスケア)の具体的実施方法を総合的にまとめたもの。各事業場の実態に即した形(「心の健康づくり計画」)で実施可能な部分から取り組んでいくことが重要と強調」 
 ◇「いわゆる労災隠しの排除に関わる対策の一層の強化について」2001年2月
 ◇「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置に関する基準」2001年4月
 ◇「届け出事業場に所属する労働者からの就業規則の開示要請の取り扱いについて」2001年4月
 ◇「過重労働による健康障害防止の総合対策について」2002月2月
 ◇「新VDT基準作業ガイドライン」2002年4月
 ◇「肝炎対策への協力について」2002年6月
 趣旨:労働者が自らの感染の状況を把握し、必要な医療や相談指導を受ける事を肝炎対策として進めるため、労安法に基づく健康診断に際して広く労働者に対する自発的な肝炎ウィルス検査の受診勧奨行うこととし、事業者及び関係団体への協力要請を行ったもの。
 ◇「労働者等のメンタルヘルス対策の推進の実施について」2003年3月
 ◇「賃金不払い残業総合対策要綱」2003年5月
 趣旨:「労働時間適正把握基準」による自己申告制に使用者が適正に労働時間を管理してないため不払いがあるとして、労使が主体的な取り組みをすること、厚労働省の対応も強化し、賃金不払い残業の解消を図るとしたもの」
 ◇「新たな職場における喫煙対策のためのガイドラインの策定について」2003年5月
 ◇「第6次粉じん障害防止総合対策の推進について」2003年5月 
 趣旨:中長期的な観点に立脚した粉じん作業に関する適正な作業環境管理、作業管理、建国管理を推進するため、「粉じん傷害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」を示したもの。

 こうした要綱や通達がだされた背景には、長時間過密労働による相次ぐ過労死・過労自殺がありました。過労死家族の会や遺族、いのちと健康を守る全国・地方センター、労働組合などのたたかいの結果、過労死認定基準、精神障害の労災認定基準が改正された事をうけ長時間労働を是正する通達や、心の健康対策についての通達が出されたものです。
 これらを有効に活用し、安全衛生活動の取り組みに反映させることが重要です。

5.今後の労安活動実践での具体的取り組みと課題について
1)安全衛生法が根づいた快適安全な職場環境をめざします
 使用者責任を明確にし、健康面での「自己責任論」を排除する必要があります。課題は職場の長時間労働・不払い残業解消、休暇取得、健康診断項目の充実、メンタルヘルス対策の重視、新VDT基準の適用、禁煙・分煙対策など快適職場づくりです。
(1) 超勤・不払い残業問題では2003年5月の「総合対策要綱」による具体化が進み、過労死予防条項を盛り込んだ36協定が締結されてきています。組合員の不払い超勤解消の要求とともに超勤そのものの縮小にむけた実態調査、残業日誌記帳運動、長超過勤勤務従事労働者への産業医、メンタル摘要など要綱や通達の実施状況点検などの取り組みは引き続き重要な課題です。
(2) 健康診断内容ついて各自治体での受診項目、診断方法の差異などについて実態を調査・交流していきます。
  この間、一般健康診断を人間ドック型に変更(豊島区)したり、前立腺ガン検診やC型肝炎検査を実施させているところもあります。またマンモグラフィーによる乳がん検査が導入されたところでは応募者が増加するなどしています。共済組合などによる人間ドック、大腸人間ドック、脳ドック検査など先端医療技術・機器による個人受診で健康管理する組合員も増えています。組合員の高齢化にともない、健康問題はますます関心のある事柄です。定期健康診断結果などのデータから健康管理に関する要求を集約、提起すること(京都府職労では成人病健康診断は満40歳以上5年ごとに55歳までと定年退職予定者に実施させています)。二次検診者の診断率向上の問題、指導、集団検診への信頼性、正確性の向上のための取り組みを強めます。
(3) 「心の健康づくり指針」では事業者の責任を明確に示し、「メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行なわれるようにすることが重要である。このため事業者は、衛生委員会などにおいて調査審議し、事業場の心の健康づくりに関する職場の現状とその問題点を明確にするとともに、その問題点を解決する具体的な方法等についての基本的な計画を、それぞれの事業場の実態と必要性に応じて策定すること」としています。職場でのストレス要因と向き合い、抑制のための論議を、人員要求や労働環境の改善と結びつけた取り組みをめざします。メンタルヘルス対象者を抱える職場での対応なども含め、労働安全衛生委員会、管理者、労働組合、職場労働者などで総合的な取り組み・対策がとれるようめざします。
(4) 「新VDT作業ガイドライン」では衛生委員会の活動と役割りについて「各事業場においては、これをもとに、衛生委員会等で十分に調査審議の上、VDTを使用する作業の実態に応じて、VDT作業に関する労働安全衛生管理基準を定めるとともに当該基準を職場の作業実態によりよく適合させるため、衛生委員会などにおいて、一定期間ごとに評価を実施し、必要に応じて見直しを行なうことが重要である」としています。いまやパソコン操作なくして仕事は進まず、事務・技術職や本庁職場ばかりでなく、病院や保育園にも導入されています。一人1台化が進行するなかで管理者の意識的な周知や働きかけがない場合、パソコンなどを使っている労働者がその作業環境・条件を知り、自ら確保しない限り、健康問題は改善されません。使用者には使いやすい操作、機器を設置する義務もあります。加齢による視力低下の問題、パソコン操作になじめない労働者の問題、障害を持つ労働者のパソコン使用環境問題などを放置させないことも重要です。
(5) 「健康増進法」による喫煙対策の具体化が官庁施設で始まっています。
 受動喫煙を防ぐため、喫煙場所を限定して、実質的にはほぼ禁煙施設に近づいています。しかし、分煙化工事をしないで済ます傾向にあり、喫煙者の肩身も狭くなってきています。禁煙者、喫煙者が対立することなく受動喫煙を予防し、快適職場づくりを進めるための設備改善を具体的に求めること、喫煙者への禁煙指導や健康相談、禁煙への協力要請が必要です。

2)職場から公務・労働災害の根絶をめざします
 看護師、保育士、給食調理職場では慢性的な腰痛症や頚肩腕症候群を訴えています。公務・労動災害を発生させない職場づくりのために労安活動は重要です。現在、板橋区職労・志村真理子さんの学校給食調理業務中の腰部捻挫に対する公務外認定取り消し請求裁判が闘われています。早期に公務災害認定を勝ち取るため本部と単組で連携した取り組みを引き続き進めていきます。
 公務災害の取り組みについては、地方公務員災害補償基金の「認定基準・認定手続き」等の改善に向けた取り組みがあります。つまり、公務災害申請して認められない場合不服申請し、それでも認められないときから裁判闘争に移行します。それだけで災害発生から1年も2年も経過してしまうことです。基金の民主的運営の課題とも結び、必要な取り組みを適宜提起していきます。
 また、臨時職員や関連法人職員などに関する労働災害についても情報や運動の交流など闘いを強化します。

3)事業所段階での労安活動の活性化のために
 「健康なくして安全なし、安全なくして労働なし」は、労働安全衛生活動の立脚点です。
(1) 安全衛生委員会(衛生委員会)は法で月1回の開催が規定されています。労働組合が方針を持って臨まなければ不定期開催や報告だけの委員会となります。労働組合選出委員が活動しやすい状況をつくるためにも、労働組合が方針と体制を確立し、サービス残業問題で記帳運動や実態調査などを進めているように必要な調査活動などバックアップすることも大切です。また、労働安全衛生に関する法令・通達を学習し習熟すること、そのための研修、学習する機会を安全衛生委員会活動の一環として要求することが重要です。
(2) 49名以下の事業所でも労働安全衛生規則関係者の意見を聞くことを定めています。出先機関や保育園や出張所など少人数の職場が多数ある職場では、その事業所をまとめた形で委員会を設置することも可能です。各単組・支部では職場の状況にふさわしい各事業所段階の委員会を要求します。事業所段階の委員会になるほど、労使の委員とも日常業務との兼任ですが、事業主側には使用者責任があります。事前に議案を提示させることや必要に応じて委員会で学習することなども必要です。
(3) 健康調査をはじめ職場の安全・衛生について日常的に点検・改善を目指すことです。職場巡視も委員会として、または産業医を伴って、または組合側選出委員による形態など、権限を活用して取り組みましょう。公務災害、通勤災害についても、休業補償を必要としない小さな事故は申請すらされてない実態もあるようです。事故の発生を見逃さない状況と体制を作ることも重要です。
(4)労働安全衛生委員会活動の報告については、委員会としての報告をさせるとともに、労働組合でも機関紙やニュースでその内容、組合選出委員の活動、主張、成果などを知らせましょう。

4)労働安全衛生活動家の養成について
 労働安全衛生活動を活性化させるには、労働安全衛生活動に意識的に取り組む活動家が必要です。
(1) 当局に、管理職ゆえに安全衛生管理者に選出されている管理職の責任にふさわしい内容、水準の研修を要求します。また、労働安全衛生委員会活動に関わるすべての委員に対する必要な講習会を要求します。
(2) 「社会医学研究センター」「いのちと健康をまもる(全国、東京)センター」などの開催する学習会などへの参加を組織します。
(3) 自治労連や全労連などの主催する労働安全衛生集会などへの宣伝と参加を組織します。
(4) 単組・支部における労働安全衛生活動に関する学習会開催・労安ニュース発行をおこないます。

6.おわりに
 都本部機能の強化のもとに、3回目をむかえた労働安全衛生活動交流集会です。実行委員会に参加したそれぞれが過去の集会内容を検討し参加してよかったという内容にしようと準備してきました。労働組合推薦で労働安全衛生委員になったからといってそれですぐに活動できるものではありません。経験がなければ、これまでの実績と到達、課題は何か、安全衛生活動はどんな役割りをもち、労働組合推薦委員は何を担うかなど学ぶ必要があります。活動状況の実態から出発し、そこでの運動を交流し、掲げる要求や運動から教訓を学び、さらに一歩でも二歩でも前進させるという点で、集会が少しでも役立ち、今後の活動の実践に多いに生かされることを期待します。

表1 各単組・支部における労働安全衛生分野の取り組み状況
−大会資料、ニュ−スからの抜粋−

【足立区職労】
方針 @安全衛生委員会の確立、当局への組織的対応 A保育職場の安全衛生委員会のあり方、組織のあり方検討 B各事業所の安全衛生委員の交流 Cメンタル、セクハラ問題の相談体制のあり方検討。労働時間短縮では、@サービス残業問題では、実態調査、アンケート活動、実績補償 A実効ある時間外規制、36協定 B所定内労働時間の短縮
【板橋区職労】
中央労働安全衛生委員会は年4回開催。「暴力被害にあわないガイドライン」マニュアルの作成。職場巡視は年2回、4S(整理、整頓、清掃、清潔)による点検
【江東区職労】
10/6−10をノー残業ウィークに設定、組合要求「長時間労働の縮減」「超勤手当の完全支給」、人員措置。第1回安全衛生委員会内容は健康診断結果報告、15年度健康診断実施計画、C型肝炎検査―35歳以上未実施の希望者に、VDT健診。喫煙対策(15.7.30)学校、保育園、保健所が全面禁煙施設に。第2回安全衛生委員会は3/14、1時間の審議。
【墨田区職労】
3号委員への援助が課題。年2回の職場巡察。喫煙対策で本庁舎は原則として禁煙。3階ルーフテラスに区民と一緒の喫煙場所。組合は庁舎内に喫煙コーナー設置要望。最終整理は「分煙が可能となる必要な対策を講じたい。雨天時の条件整備を検討」。健康管理では、定期健診で正常判定は29.0%、第2次健診の3割が未実施。サービス残業の存在を区は認めてない。7・8月に所属長要請や職場実態調査。
【品川区職労】
03.11.4畳のある休憩室を要望。04.2.26 メンタルヘルス学習会への参加案内。
【世田谷区職労】
VDT「新基準」(労使検討委で作成)は03年6月施行、健康診断・健康増進事業の充実要望、労働安全委員会の複数開催目標、13の安全衛生委員会、2月に定例会で「次年度安全衛生事業計画」審議、産業医は2名(自区の職員医師)
【多摩市職】
年4回の労働安全衛生委員会、VDT管理基準の作成(03年2月)。
【豊島区職労】
職場環境改善では本庁舎レイアウト、休憩室を要望。長時間労働総合対策(15.4.24)職員が取り組むべき事項で5項目・「時間内処理意識の徹底」、「係内での応援、協力等により超勤の縮減を図る」など。分煙施設―分煙化工事実施・区役所本庁舎・公会堂、区民センター、南大塚ホールなど、他は禁煙施設に指定(15.7.1提案)。組合は「教育宣伝による喫煙者への啓蒙活動の強化、喫煙者の理解と協力」を申し入れる。
【文京区職労】
方針 @労働環境の改善、A職業病認定、治療に専念できる措置、B健康相談体制の充実、健康診断内容の充実、安全衛生対策の強化、研修制度、C労安対策委員会の強化、D「労働安全衛生」の学習会、交流会
【目黒区職労】
方針 重点要求課題 @来年度人員要求闘争、A過重労働対策、Bメンタルヘルス対策−職場復帰問題も含めて、C職場環境改善−総合庁舎の環境改善水準を、庁外職場にも、D新VDTガイドライン(03・1月策定)の周知。03年9月5項目の要求書を区安全衛生委員会事務局に提出。内容はOA作業用椅子、机の整備、老朽施設の安全・衛生面での点検、メンタルヘルス対策など。
【国立市職】
方針 @使用者責任を問い、委員会の活性化 A事業所毎委員会の活性化 B全国交流集会への参加 C精神疾患等による、休職・退職への対応 D臨職労災への対応