「骨太方針2005」に対する書記長コメント

2005年6月22日
東京自治体労働組合総連合
書記長 野村 幸裕

 政府は6月21日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(以下「骨太方針2005」)を閣議決定しました。「素案」が発表されたのが6月7日、その後、「原案」を経て、今回の最終決定となりました。「骨太方針2005」は社会保障給付費の抑制をはじめとして、国民生活のさまざまな分野に大きな影響を与えます。同時に、公務員の総人件費抑制や市場化テスト等、私たち自治体労働者に重大な影響を与える内容を含んでいます。
 「骨太方針2005」は4章立ての構成となっていて、第1章は日本経済の現状と課題について書かれています。この章では先に発表された「21世紀ビジョン」(別紙「東京自治労連「見解と態度」参照」)が引用され、そこで述べられた「躍動感ある社会」になるための分かれ道は、この1〜2年にあると述べています。一方で、「構造改革」の強行により、国民生活は疲弊しているにもかかわらず、バブル崩壊後の負の遺産からは脱却し、民需主導の経済成長が実現しつつあると記しています。そして、これからの「重要な2年間」に、「小さく効率的な政府」、「少子高齢化とグローバル化を乗り切る基盤づくり」「デフレ克服と経済の活性化」の三つの課題を重視する必要があると述べています。
 第2章では「小さくて効率的な政府」のために三つの変革が必要とし、「資金の流れ」「仕事の流れ」「人と組織」を変えると述べています。「資金の流れを変える」では、郵政民営化、政策金融改革、「政府のバランスシート総点検」を挙げています。これは国民の財産を企業に切り売りするとともに、応益負担などの導入によって、現在の自治体が担っている「国民生活の不公平を是正する」という役割を放棄させようとしてます。
 「仕事の流れを変える」では国から地方への改革、市場化テスト、予算制度改革等、国や自治体の変質を完遂しようとしています。「人と組織を変える」では、財政悪化の原因を公務労働者に押しつけ、徹底した行政改革、公務員の総人件費削減を図るとしています。
 第3章では「新しい躍動の時代」を実現するために、歳出削減を前提とした歳出・歳入一体改革を強力に推進するとしています。少子高齢化社会を乗り切るために社会保障費の伸びを抑えることを宣言し、「平成18年度」中に医療制度改革、診療報酬・介護報酬改定を実施するとしています。このことは、国民にさらなる負担増を強いることを表明するものです。社会保険庁については運営を国から切り離し、市場化テスト等、外部委託の拡大、民間企業的な手法の導入等を実現すると述べています。
 第4章として、当面の経済財政運営と来年度予算のあり方について述べています。「平成17、18年度」の日本経済は引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けると予想しています。これをさらに確実なものにするための政策転換として、
(1)規制改革・民間開放
(2)金融システム改革
(3)税制改革
(4)歳出の見直し
の4点を挙げ、来年度予算にも反映させると述べています。
 以上が「骨太方針2005」の概要と問題点ですが、マスコミは、「骨太方針2005」の特徴は公務員の総人件費削減や市場化テストの具体化等とも述べています。
 市場化テストについて「素案」では特段の記述はありませんでしたが、加筆し早期に策定することが最重要課題と述べ、次期通常国会への提出を打ち出しています。 公務員の総人件費削減については、国・地方ともに純減目標」などの明確な目標を掲げるとして、基本指針を「平成17年」秋までに策定するとしています。  「骨太方針2005」は、国民に対して歳出の抑制か増税の二者択一を迫るものです。
 また、三位一体改革により、国の財政難を地方に押し付け、自治体による住民生活のための仕事を切り捨てようとするものです。さらに「小さな政府」として、市場化テストの本格導入を進め、公共の仕事を営利本位のビジネスに委ねようとするものでもあります。
 残念ながらマスコミの論調は、「骨太方針2005」に盛られている国民生活犠牲の本質を覆い隠し、国民生活の向上を図ろうとする公務労働者と国民を分断しようとするものです。
 東京自治労連は、こうした小泉「構造改革」に反対し、国民が安心して暮らせるもう一つの日本社会を実現するために運動をすすめてきました。また、そのためにも公務の民間開放は行わず、国民生活に直結する行政分野の充実を求めてきました。今後とも、住民が主人公の自治体づくりの運動をいっそう強化するため、職場からの力を結集して住民とともに奮闘しましょう。