| 2005年11月30日 | |
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| 東京自治労連書記長 野 村 幸 裕 |
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| 千葉県市川市の「姉歯建築設計事務所」(姉歯秀次一級建築士)が、マンションなどの耐震性を示す「構造計算書」を偽造していたことが判明しました。同設計事務所は、「計算書」の提出を受け建築確認をおこなう民間機関の検査体制がずさんなことを見越し、書類を偽造していたと明らかにしています。建築確認に伴うこのような事態が生じたことは極めて不当であり、売り主、設計者、施工者が一体となって直ちに住民の移転を可能にすべきです。と同時に、このような混乱の根本原因である小泉内閣が財界の意向を受けて進める「自治体の市場化」を直ちに改めるべきです。 1998年建築基準法が改悪され、それまで建築主事を置く自治体が行ってきた建築確認・完了検査を、国などの指定を受けた民間の指定確認検査機関も実施できるようになりました。98年以前の建築確認は設計者の申請に基づき自治体が専門性を発揮し、ノウハウを継承しながら審査してきたものです。しかし改悪後、自治体ではなく民間企業にも建築確認ができるようになりました。建築基準法改正直後から、建築確認を担当する組合員などから建築確認による安全性の担保ができなくなる恐れがあるとの指摘がなされていました。この改悪は規制緩和、民間開放の促進を理由に建設業者や不動産業者などの声を背景に政府が強引に進めたものです。現在、全国的には、昨年度の確認件数は約75万件ですが、自治体分が約33万件に対して民間機関が約42万件に達しています。都内では、すでに民間検査機関の検査件数が大幅に自治体を上回ると言われています。 今回の問題は、 (1) 民間の指定検査機関制度は、「審査期間の圧縮」などを望む企業の限りない利潤追求の中で、行政改革と称して財界主導による規制緩和・民間開放にその第1因があります。 建築確認は住民の財産・生命を守る自治体の役割そのものです。営利優先、競争社会の民間企業には限界があります。建築士の「矜持」など観念論で公平性・中立性・安全性を確保させることには限界があります。システムとして公共が担うべき役割である確認検査業務の民間開放は、まさに自治体の公共性を放棄したものです。 (2) 公平性や中立性の確保には経済的にも政治的にも保障された公務労働制度が必要だということです。民間の競争社会の中では次の契約を取るために「依頼者の意向を反映する。」「バックペイを払う」「期限を短縮することが最優先」等のことが行われています。自治体にも民主的な効率性は求められていますが、最大の違いは経済的効率性だけが追求されていないことです。経済的にも政治的にも競争ではない制度があるからこそ、公平性や中立性が担保されます。 (3) コンピューターへの依存性についての問題です。「計算書は国の認定プログラムで作られ、審査で確認する必要がないコンピューター内の計算過程で改ざんされていた」との指摘があります。プログラムやマニュアルの問題点の指摘する能力は、職場の長年の経験と蓄積により培われるものです。正しい審査プログラムが開発されてもそのプログラムが悪用されては、「いたちごっこ」になりかねません。責任をプログラムやマニュアルに押しつけることはできません。プログラムやマニュアルによって人間が使われるのではなく人間が使うものであることを再認識させました。 二度とこのような事を起こしてはなりません。ある民営化推進の評論家は「競争社会で企業が淘汰される」と述べました。企業は淘汰ですみ、再挑戦する機会があるかも知れませんが、個人の財産や生命は取り戻せません。また、経済ジャーナリストは「地震保険に加入することが重要」といっていました。地震がきたら財産だけでなく生命も危険にさらされるのです。これらの見解は実際に生活する一人ひとりの人生を見ていない机上の空論です。さらに、マンションの居住者に対する補償問題、立て替えによる資源の無駄遣いなどを考えると、職場における私たちの経験と蓄積を有効に活用することが、住民の生命や財産を守る上で最も効率的であることを示しています。 私たち自治体労働者は、改めて仕事を通じて、住民の生命・財産を守り、安全を確保する公務・公共性の意義を再確認しました。建築確認事務を自治体労働者が握って離さない、場合によっては、再度自治体労働者に手に取り戻すことも視野に入れて、該当職場で議論し、行政のシステムを再構築する運動を職場・地域で進めようではありませんか。すべての職場で公務・公共性とは何かを議論し、利潤追求のための民間開放がどれだけ住民の生命財産を脅かすのか明らかにし、自治体の市場化の流れを止め、もう一つの日本、もう一つの東京、もう一つの地域を実現しましょう。 |