都の「行財政改革の新たな指針」に対する見解と態度について
東京都は都民を苦しめ、不況に拍車をかける 「行財政改革の新たな指針」を撤回せよ
2005年12月21日 
東京自治労連中央執行委員会
 2005年11月29日東京都は「行財政改革の新たな指針」を発表しました。
 この「指針」は自治体のかたち=制度論と自治体の構造改革からなっています。「指針」の基調は、これまでの都政運営を自画自賛し、日常生活を営む都民の視点ではなく、大企業に奉仕する「地域の経営者」の視点から、さらに都政の市場化を進めることを表明しています。発表にあたって東京都は都民や関係機関の意見を一切、求めていません。住民の付託を受けて住民と共に創る都政という姿勢が全くない不当な態度です。東京自治労連は住民無視の「指針」に強く抗議すると共に撤回を求め、以下の見解を表明します。
 なお、今回の「指針」について詳細な見解と態度は別途、表明します。

 第1に、引き続き都民に犠牲を強いて多国籍企業支援の都政運営をさらに推進することを表明しています。
 「指針」は「基本認識」の中で「大都市を中心に生み出された富を全国に再配分することにより、・・・・・すべての国民が一定水準の行政サービスを享受できるように」なったとして、今の中央集権・官冶システムは使命を終えたとしています。また、「自らの判断で自らが行動するという、個人や企業そして地方自治体の自主性、自立性を最大限発揮できる仕組みづくり」が必要であると自己責任論を基点に応益負担を都民や市区町村にも求めています。
 さらに、都が進めてきた先駆的な取り組みとして、認可保育園の水準を引き下げようとしている「認証保育所制度の導入」や受益者負担を名目にした福祉水準の切り下げをかかげ、「福祉改革の実施」として更に推進しようとしています。あわせて、「外環道の整備推進」、「新銀行東京の創設」などを、「東京から日本を変える」と称して「全国に波及し、新しい行政のかたちを都民・国民提示してきた」と自画自賛しています。
 かつて、敬老パスに代表される革新都政時代に都民の力で築き上げてきた福祉施策は、都民の生活を援助し、守ってきました。保守都政に変わって、段階的に切り捨てられてきましたが、今回の「指針」はその総集編として、すべての福祉施策を切り捨てることを意味し、日本国憲法で保障した生存権を否定し、自治体の役割を放棄するものです。
 スリムで効率的な行政運営として、都は指定管理者制度・地方独立行政法人・市場化テストなどNPM手法を挙げています。そして行政分野の民間開放を積極的に進めることで新たなビジネスチャンスを創出するとしています。経営者には、引き続き所得増を保障しますが、現場に働く労働者には、低賃金を押し付け、生活できる所得を確保するために、過酷な長時間労働を強いるものです。特に、これからの世代を担う若年労働者には、一部のエリート層を除いて、低賃金労働・長時間労働を恒常化させ、人間として働き続け、生活する権利を否定するものです。
 NPMの手法を更に進めることは、生活に苦しむ多くの都民の実態無視して、都民の所得間格差を広げる政策です。都民の貴重な税金を大企業・大資本へ投資することを意味しています。07年度に東京版市場化テストを策定するとしています。市場化テストについては分限解雇も視野に入れた検討が進められており、公務労働者の雇用さえも保障されない可能性があります。

 第2に、地方の自主・自立といいながら、あたかも大都市地域―東京における地方自治体は東京都だけであるかのような認識に立っています。特に、基礎自治体である23区については、一切その自治体としての自主・自律性を否定し、自主立法権や財政権を持たない地域組織に強引に当てはめようとしています。
 国の全国一律の時代が終わったといいながら、「大都市経営の総合性、一体性」を強調して、23区内では都の府県業務に大都市としての役割を付加しようとしています。特別区制度調査会が23区の調整機能と位置づけた新たな行政組織については「効率性の観点から不適切」と決め付け、23区内の基礎的自治体を、(1)「核となる区域」を大都市として特別な扱いにしそれ以外を都市として位置づけるか、(2)23区を一つの基礎的自治体としてみる「東京市」の復活押し付け、各区を単なる行政区に戻そうとしています。戦後60年間一貫して求め続けた23区民の自治権拡充の運動を真っ向から否定し、都への中央集権の都制度を作り出し、さらに関東近県を含めた道州制を提起しています。

 第3に住民自治の否定、主権者として都民の否定です。今、都内各地では住民がさまざまな手段を用い、試行錯誤しながら「草の根民主主義」を進めようとしています。しかし、「指針」は「公」の多様性を主張し、「民間で行えることは、思い切って民間にゆだね」と民間企業の役割を強調する一方で、都民や実施機関の意見を聞く姿勢をもちあわせていません。まさに、民間企業や都民を都の下請け機関に従属させる姿勢です。今回の「指針」はトップダウンの典型であり、都民の声を聞く姿勢がまったく見られません。パブリックコメントさえも実施する意図を持ち合わせていません。

 指針は今後、05年度内に「人材育成基本計画」06年7月までに「今後の財政運営の指針」(仮称)「行財政改革プログラム」(仮称)を明らかにして「行財政改革」を進めるとしています。さらに、06年度中に道州制や大都市制度について検討するとしています。
 今回の指針のもつ不当性を各分野から多様な視点で分析し、その内容を多くの都民に知らせ、都民犠牲・大企業本位の都政を変えるために行動に立ち上がろうではありませんか。
 住民の平和に安心して生きる権利を保障し、住民が主権者となる地方分権・自治権の拡充をめざし、都民生活の防波堤としての自治体行政の役割を都民とともに再度、確認することが求められています。行政水準を低下させ自治体を利潤追求の場に提供するNPM行革に職場から、それぞれの仕事を語り、反撃する運動を展開しようではありませんか。
 東京自治労連は、「指針」を都民世論で包囲し、都民本位の都政確立のため08年都知事選挙も視野に入れて、全力を挙げて闘います。