公務・公共性の役割をあらためて問う

はじめに
 今、小泉構造改革の下で、この日本という国にますます格差社会が拡大されています。
 この格差社会とは、「強いものが勝ち、弱いものが負けることは当たり前である」という、競争原理に基づいた社会です。競争に負けたものは社会的にも敗者となり、生存することすら危ぶまれるような生活をも甘んじて受け入れよという、基本的人権を無視し、人間としての尊厳も奪い、弱者を社会から排除していく倫理です。
 挑戦する機会(チャンス)だけは与えており、望むものが得られないのは個人の責任であるとする思想が若者をはじめとする多くの人々に刷り込まれています。
1990年代に始まったバブルが、「金さえあれば何でも買える」とする拝金主義をはびこらせ、株と土地が永遠に上がり続けるかのようなマネーゲームにマスコミや多くの経済学者が国民を扇動し、自治体も箱物行政といわれる借金だらけの行政を続けてきました。
ところが一転してバブル崩壊となるや膨大な借金が企業ばかりか国や自治体に残され、大銀行・大企業には湯水のように税金をつぎ込み救済する一方で、国民・住民には「痛みを分かち合わなければならない」とこれまで築き上げてきた様々な社会的な権利を奪い、失政の付けを押しつけてきています。
小泉首相は、自民党政治に対する国民の批判を逆手にとって[自民党をぶっこわす][構造改革に反対する者は守旧派だ]と登場し、自民党の行ってきた政治を更に進めながら、国民福祉をぶち壊すことを行っています。
財政難を「少子高齢化社会」となり大変など、さまざまな言葉を弄し、社会的弱者を切り捨てようとしている今、自治体の役割とは何なのか、国のいうがままに自治体の仕事を「民でできるものは民へ」と行政が行ってきた業務を投げ出して良いのか、まさに公務・公共性の役割が問われているのではないでしょうか。

1.自治体業務の民間委託⇒民間化はどう進められてきたのか。
 昨年、東京自治問題研究所から発行された「地方自治構造改革とニューパブリックマネジメント」や東京自治労連発行の[市場化テスト。批判的入門]で詳しく述べられていますが、これまでも「事務事業の見直し」という形で業務の委託化が進められてきました。まず現場(現業職場)から始まり、OA化パソコン導入による事務作業の効率化、さらにIT化によるインターネット活用によって飛躍的に業務形態が変化してきています。
東京自治労連のIT(電子自治体対策委員会)では、@コンピューターによって仕事が楽になり、余暇を趣味に使うどころか、これまで以上に仕事の中味と量が過密的なものに大きく変わってきていること。A仕事がマニュアル化という形で一面化し、これまでの知識と技術が失われていこうとしていること。を指摘しています。

1)これまでに進められてきたこと。
(1)業務の民間委託
○高い賃金となった現業職を切り、安い民間へ
○いやがる・いやな(3k)仕事は貴方がやらなくても良い。
次に
○自治体の財政危機は職員の人件費がかかりすぎる。
○職員が働かないから。
サービスが悪い・態度が悪い・(お客さま運動)住民はお客さまか?
(2)第三セクターによる業務委託(天下り先の確保)
国家公務員は次々と作り、ヒラでも天下り先を作った。高く付く業務の委託。
(3)PFIによる民営化
業務の委託(人件費のピンハネ)だけでは儲けが少ない。余った金を安全な貸し先に貸したい(銀行)とが結びついて、業務の提案→施設の設計・建設→施設運営まで全て請け負うというもの。イギリスのサッチャーが始めたが、日本のは監視機構もなくさらに企業に有利になっている。
(4)独立行政法人
事業そのものを(職員・施設丸ごと)法人化し、3年ごとに見直しを行い、必要なし(委員会・議会)とされれば廃止となる。給料・労働条件は公務で行っていた時を最高とする。
(5)指定管理者制度
行政が直接行っていた事業(保育所・図書館や体育館など施設運営)を民間事業者に丸ごと委託するもの。契約内であれば労働者の賃金やサービス内容を自由にできる。
(6)包括管理委託
指定管理者制度と似ているが、施設の運営を労働者の提供だけでなく水道・ガス・電気・薬品等(ユーティリティー管理という)の使用や修繕・補修を含めた工事の発注までを請け負い者の管理とする。工夫次第でさらに儲けられる。
(7)市場化テスト法
 これまで行ってきた方法では、儲けが小さすぎるしさまざまな規制がまだある。それを全て取り払い、自治体のサービス業務は民間が行っていく。

2.公共サービスは公務員でなければできないのか
○社会福祉事業とは人手がかかるもの(介護・保育・病院)
○公務員ではが悪くて高いサービスしか提供されていない?。
なぜそう思われているのか?
かつての国鉄パージの復活。公務員バッシングはどう作られていったのか?
「おい・こら」警官と頼まれなければ、お願いされなければ仕事をしないお役人のイメージは、なぜいまだにあるのか。

3.どうすれば止められるのか
(1) なぜ民営化の議論となったのか
○国地方併せて700兆円を超す借金
金がないから住民には負担を重くし、人件費削減のため職員減らしと民間化による直接業務削減。
○これまで行ってきた住民への仕事を減らしてで財政が好転するのか。
 民間コンサルでは、民間化と行政ボランティア、事業廃止、
○ 民間大企業では、持株会社を禁止から自由化し、子会社を自由に作って労働者を出向・移籍させ、儲けが出なければつぶせる首切り自由の規制緩和を行った。
○ 公務員の独立行政法人はもっとひどい。出向移籍を拒否できない。首を切られても雇用保険ナシ。労働基本権も奪われる。
○公務員バッシングとのたたかい。
(2)職場から反撃ののろしを上げよう
○イギリスでは市場化テスト法による官民競争入札をおこない、公務員法を変えて、民間業者が入札に勝った場合には公務員労働者を身分移管できるとした。
○今職場で何が起きているのか。中高年齢者の仕事にたいする情熱の低下。OAパソコン中心の単純作業、定型業務化、考え判断する仕事の喪失。定年を待たずに退職する職員の増大。
○マニュアルだけでは人は育てられない。本当の知識や技術が伝えられなくなったときに、なにがおきているのか。鉄道事故をはじめとする事例はたくさんある。