| ||||||
| 2007年1月10日 東京自治労連中央執行委員会 | ||||||
| 1 パート労働者への社会保険適用拡大問題をめぐる情勢 (1)社会保障審議会年金部会における審議開始 安倍首相は、12月25日に発表した「再チャレンジ支援総合プラン」の中に、パート労働者への社会保険適用拡大を盛り込み、これを受けて12月27日にスタートした社会保障審議会年金部会において、パート労働者への厚生年金の適用拡大問題の審議が行われています。 同年金部会は、3月中にも論点整理を行う方針であり、安倍首相は関連法案を通常国会に提出する意向とされています。 (2)政府・与党は適用対象絞込み 現行適用対象は「週30時間以上」とされており、2004年の年金制度改悪の際に「週20時間以上」への拡大案が使用者側保険料増大を理由とした業界団体の強い反対を受けて、見送られた経過を持っています。 今回も、政府・与党は、パート労働者への厚生年金の適用拡大に強く反対する業界の意向を受けて、適用対象を絞り込む方向を示しており、その内容は@週20時間以上勤務、A月収(標準報酬付額)9万8千円以上、B勤続1年以上、または勤務が1年以上となる見通し、C従業員数300人以下の中小企業は除外としています。 この条件に適合するパート労働者は、全体の約1割(100万人強)にとどまり、内部においても適用拡大の意義が薄れて、再チャレンジ支援総合プランと矛盾が生じるなどの指摘がされるなど、その方向性を巡る政権内部の歩調も統一されていない状況です。 2 パート労働者への社会保険適用拡大問題に関わる論点 (1)年金制度の抜本改善こそ求められる 年金制度については、2004年の抜本改悪によって、給付水準削減と保険料負担増が強行され、著しい国民負担増と老後の生活を保障し得ないものとなっています。 さらに、低位平準化としての共済年金・厚生年金一元化も強行されています。 こうした制度改悪の積み重ねの中で、制度に対する国民の不信感の拡大とともに、年金制度そのものの空洞化に拍車がかかっています。 国民年金の未加入・未払いの増にとどまらず、厚生年金においても中小零細事業所の加入逃れが70万事業所(適用対象事業所の3割)に達する事態に至っており、偽装請負の拡大等もあわせて、このままでは莫大な無年金者を生むこととなり、生存権を脅かすものとなっています。 2004年改悪の際の前提となっていた将来推計人口も、その後に大幅な下方修正が行われており、制度の破たんは免れない状況です。 したがって、国民から求められる年金制度改革は、公費による最低保障年金制度確立、先進諸国と比較して低い使用者負担割合の引き上げ等、国民の生存権を保障しうる年金制度確立に向けた抜本改善であり、この問題を抜きに制度改革はありえないものです。 (2)非正規労働者の均等待遇確保、正規化促進が基本 パートは2005年で1266万人に達し、全雇用者の24%を占める事態に至り、パート労働者比率の国際比較においては、非正規労働者に対する均等待遇が法制化されているオランダに次いで第2位を占める異常な事態となっています。 特に、パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託といった非正規労働者の割合は各年齢・男女共に著しく上昇しており、非正規雇用とこれに基づくワーキングプアと称される著しい低所得・無権利状態が、「格差」を生むと共に、将来の生産性への制約や少子化の大きな要因として、社会問題ともなっています。 したがって、パート労働対策の基本は、その処遇の均等待遇化であり、雇用形態を正規へ転換していくことに他なりません。 しかし、再チャレンジ支援策として「フリーターの常用雇用化・パート労働者の均衡待遇」と位置付けながら、12月26日に示されたパートタイム労働法改正へ向けた労働政策審議会雇用均等分科会の報告書では、「パート労働者の処遇については、企業への貢献度を個別に評定するものであり、雇用形態の転換については、経営戦略の重要事項として扱うべきものであることから、いずれも法律で一律に規定することは適当でない。」として、日本経団連の2007年経営労働政策委員会報告と同様の主張を展開し、極めて不十分な改善策の提示にとどまっています。 パート労働者の処遇の抜本的改善を基本とした総合的な対応策こそ切実に求められています。 (3)年金財政対策ではなく、真に老後を保障しうる方向を パート労働者への社会保険適用拡大問題については、「再チャレンジ支援」の一つと称しながらも、年金制度一元化へ向けた対応、年金財源対策の側面を持つと共に、個別には以下の問題を抱えています。
3 当面の対応方向について (1) 職場討議の促進 本文書に基づいて機関討議・職場討議を単組・支部で具体化し、情勢と基本的論点に関わる認識の共有化と対応方向の討議を進めます。 (2) 実効あるパート労働対策を求める取り組み 対応の基本は、非正規労働者の均等待遇確保と正規雇用化促進であり、そのための実効あるパート労働法改正の実現へ向けて、全労連・国民春闘共闘会議の諸行動に全力で取り組みます。 (3) 年金制度改善問題と統一した取り組み 昨年11月16日に人事院が発表した「民間企業における企業年金及び退職金(退職給付)の実態調査」の中でも、共済年金職域部分廃止に伴って退職給付が民間を下回ることが明らかにされており、共済年金の職域部分に代わる新たな仕組みの確立が大きな要求課題となります。 また、空洞化する年金制度の下で、国民の生存権を保障しうる年金制度抜本改善が求められており、こうした年金制度改善へむけた取り組みと結合して、パート労働者への厚生年金の適用拡大問題への対応を進めていきます。 (4) 春闘方針の具体化への位置づけ 2007年春闘方針案の中では、「4 賃金底上げ、均等待遇の実現、公契約運動の前進で、賃金・労働条件の大幅な向上をめざす闘い」「5 労働法制の改悪を許さず、働くルールの確立、労働者の雇用と健康を守る闘い」として、取り組みの課題を掲げており、以上の対応方向も踏まえて、これらの課題推進へ向けた具体化の方針を別途作成します。 |
||||||
| 以 上 |