都立病院・老人医療センター等
地方独立行政法人化問題等に対する春闘期の取組について
2007年2月7日
東京自治労連中央執行委員会
1 都立病院等の地方独立行政法人化を打ち出す東京都
 昨年7月13日に決定された東京都「行財政改革実行プログラム」において、主要改革事項として「都立病院などの新たな経営形態の検討」が位置付けられ、「老人医療センターは、地方独立行政法人への移行を目指す。また、都立病院は、地方独立行政法人化などを視野に入れ、新たな経営形態のあり方を検討する。」ことを打ち出しています。
 具体的には、都立病院は地方独立行政法人化、豊島病院は東京都保健医療公社への移管をそれぞれ視野に入れた検討を進めるとしており、老人医療センター・老人総合研究所については、地方独立行政法人化を目指し検討をおこなうとしています。
 老人医療センター・老人総合研究所は、平成19年度に基本計画、平成20年度に実施計画、平成21年度に地方独立行政法人開始予定とする具体的な日程を示しており、この行方は都立病院全体に重要な影響を与えることとなります。

2 医療をコスト削減対象とする東京都
 政府は、自治体の公的責任を放棄し、公務の市場化を推進するために05年3月に「地方行革新指針」、06年6月に「行革推進法」を制定し、自治体当局に対して職員数の4.6%削減をはじめとした総人件費抑制を強要しています。
 東京都は、これに追随・先導して、05年11月29日に「行財政改革の新たな指針」を策定、これに基づいて「行財政改革実行プログラム」が策定されたものです。
 「行財政改革実行プログラム」は、07年度から09年度の3年間に4000名の職員削減を計画し、その実行へ向けて、地方独立行政法人・市場化テスト・指定管理者制度・PFI・民間委託・民間企業への委譲・人材派遣などあらゆる手法を駆使した212項目に達する具体的な取組方向を示しています。
 したがって、職員と事業経費の削減を目的とした都立病院等経営形態見直しであり、まさに医療をコスト削減の対象とするものです。
 医療をめぐっては、医師・看護師不足、新生児医療室の不足、過酷な医療労働者の実態とこれを背景とした医療事故増加など深刻な事態を招いており、一般新聞において「医療クライシス−忍び寄る崩壊の足音」が連載される状況であり、むしろ医療体制の改善・拡充に向けた検討こそ行うべきものです。

3 明確な方向性無いまま、地方独立行政法人化具体化を検討
 都当局は、「改革の方向性として、将来にわたり都民に対して安定的かつ継続的な行政的医療が提供できるよう、地方独立行政法人化などを視野に入れ、経営形態の検討し、平成19年度に第二次都立病院改革実行プログラムを策定する」としています。
 しかし、5年前の「都立病院改革マスタープラン」では、老人医療センターと豊島病院を統合し、民営化を打ち出していたように、基本的には十分な検討も方向性も理由さえ無いままに、地方独立行政法人化へ向けた検討が行われる事態となっています。
 特に、現在、老人医療センター・老人総合研究所の地方独立行政法人化問題についての内部検討を進めており、当初は1月に発表の予定されていた中間報告も行わず、3月の最終報告へ向けて、まさに密室での検討が進められています。

4 地方独立行政法人化では「安定的かつ継続的な行政的医療提供」はできません
 そもそも地方独立行政法人は、民間企業の参入が期待しにくい事業を、自治体から切り離して別組織とすることによって、経営収支面で独立させコスト削減をはかるためのものです。
 東京都から独立した法人であるため、法人としての経営が優先され、理事長の判断による診療科目廃止も可能であり、赤字の累積に伴う病院そのものの廃止・閉鎖さえできることになっています。
 したがって、地方独立行政法人化は、東京都が改革方向に掲げる「都民に対する安定的かつ継続的な行政医療の提供」を困難とするものに他なりません。
 このことは、既に実施されている国立病院の独立行政法人化の実態を見れば明らかです。

5 都民不在で、職員犠牲の地方独立行政法人化
 地方独立行政法人化は、議会による監視監督が大きく後退し、都民不在の事業運営となります。
 3ヶ年の基本計画を知事が作成し、議会の承認を受けることとなりますが、これに基づいて理事長が策定する「中期計画」「年次計画」、予算や収支決算などに対する議会の関与はできません。
 また、理事長は知事が任命し、他の役員は理事長が任命すると共に、運営をチェックする「評価委員会」委員さえ知事が任命するため、議会・住民の意思が反映しない法人運営の仕組みが構築されます。
 これでは、都民本位の行政医療が実行できるはずがありません。
 職員については、東京都は非公務員型の法人をめざしており、職員は公務員の身分を失うこととなります。この問題は、職員にとって極めて重要な労働条件改悪問題であると共に、医師・看護師不足問題が医療提供に深刻な影響を与えている中で、都民・利用者にとっても重大な問題です。

6 直営病院廃止計画に対する広範な都民の反対世論を結集
 都立病院等の地方独立行政法人問題に対して、自治労連都庁職並びに当該支部を中心として、この間も精力的な取組を進めてきています。
 「都立病院改革マスタープラン」に基づく16の都立病院を8病院に削減する計画に対しては、病院ごとに「守る会」「存続させる会」が結成され、様々な運動を展開してきた結果、都民の大きな批判と反対の世論の前に計画の見直し・延期を余儀なくさせてきています。
 また、東京の保健衛生医療充実を求める連絡会が実施した200万全戸宣伝では、添付の返信ハガキで5000件もの回答・意見が寄せられ、9割の方々から直営廃止計画に反対の意見が示されています。
 こうした広範な都民の世論と運動に依拠して、引き続き取組を強化していくために、単組の要請を受け、東京自治労連内に、対策委員会を設置するなど、体制も強化してきています。

7 春闘期における対応の方向について
 今年度末に、老人医療センター・老人総合研究所の地方独立行政法人化問題における内部検討の最終報告が予定されています。また、都立病院見直し問題に決定的な影響を与える東京都知事選挙の投票日を4月8日に控えています。
 したがって、今春闘期における取組は重要であり、都立病院等地方独立行政法人化の問題点を広く都民に訴え、都知事選挙勝利の課題と結合して取組を進めていくものです。

8 具体的な取組
(1) 自治労連都庁職等が作成した11万部のミニパンフレットを積極的に活用し、組織内外に普及していきます。組織外については、春闘期における都内各労組への激励オルグ訪問活動に活用すると共に、東京社会保障推進協議会加盟組織に要請を行います。
(2) 東京都当局は、組織内部において、老人医療センター・老人総合研究所の地方独立行政法人化問題を検討中です。このため、検討所管部局に対する要請を行います。この要請については、都内諸団体に加え、自治労連本部に要請し、各県本部を通じて全国からの要請を求めます。
(3) 老人医療センターの所在自治体である板橋区当局への要請を行います。
(4) 関係各支部等が主催する地域シンポジウムなどに積極的に参加します。
以  上