地方法人特別税の創設と東京都の対応について
2008年1月30日
東京自治労連中央執行委員会
 総務省は、12月19日に「平成20年度地方税制改正(案)について」を発表し、「地方法人特別税」・「地方法人特別譲与税」の創設を示しました。
 これは、地方分権改革に逆行する地方税の一部国税化であるとともに、不公平税である消費税の増税を視野に入れた措置であること。また、制度導入にあたり、石原都政が大企業本位の都市再生事業や構造改革路線推進に関わる13項目に対する政府協力の取引を行ったことなど重大な問題点を持つものであり、強く抗議するものです。
 
「地方分権」に逆行する法人事業税の一部国税化
 地方法人特別税は、地方税である法人事業税(所得割・収入割)の一部を分離し、国税として創設するものです。
 そして、地方法人特別税の税収を人口(1/2)及び従業者数(1/2)を譲与基準として、都道府県に地方法人特別譲与税として譲与するとしています。(平成21年度から譲与)
 この結果、都道府県全体で5.2兆円(06年度決算)の法人事業税のうち、2.6兆円が国税に移され、都道府県に再配分されることとなります。
 総務省試算結果では、東京都は3268億円、愛知県は433億円、大阪府で222億円、さらに栃木・静岡・三重・滋賀県も減収となります。
 「都市と地方の税収格差是正」を口実として実施されるものですが、そもそも地方の財政状況悪化は政府が作り出したものに他なりません。
 財政調整機能と財政保障機能は地方交付税制度で実施されるものですが、この間に推進されてきた「三位一体の改革」によって地方財政は6.8兆円も縮小されており、特に地方交付税改革による5.1兆円削減と補助金改革4.7兆円削減が、地方財政の急速な悪化をもたらしたものであり、地方交付税確保を基本とした措置こそ求められるものです。
 さらに、滋賀県知事・岩手県知事の批判コメントが報道されているように、税収格差の問題を地方自治体間の問題に矮小化するものであり、地方税を国税化することは地方分権改革に逆行するものと言わざるを得ません。

格差と貧困を拡大させる消費税増税を視野に位置付けた取扱
 今回の地方法人特別税及び同譲与税の創設については、「消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置」と位置付けられています。
 「偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系を構築することを基本」とした改革の柱として地方消費税の増を据えており、金額規模も消費税1%分に相当するものに設定されています。
 日本経団連の「2025年には消費税17%」という試算、11月25日の政府税制調査会の「社会保障財源としての消費税増税の必要性」答申をはじめ、消費税大増税へ向けた動きが強まっています。
 構造改革路線に基づく法制度と行政運営によって、今日の「格差と貧困」が作り出されてきました。
 税制においては、大企業が史上最高の利益を確保していながら、税制における所得再配分機能を著しく低下させてきています。
 消費税は、低所得者ほど所得に対する負担が重い逆進性の強い税であり、消費税増税は更なる所得再配分機能低下をもたらし、格差と貧困を助長するものに他なりません。
 しかし、石原知事主導の関東知事会は、地方消費税の充実を口実として、政府に対して消費税率の引き上げを求める提言をしており、住民の暮らしを支える自治体のとるべき姿勢に真っ向から反するものに他なりません。
 わたしたちは消費税引き上げに断固反対するものであり、自治体当局も住民生活を擁護する立場から反対の姿勢を示すよう強く求めるものです。
 
真の地方財政確立は国と地方の税財源配分の改善
 税財政問題では、政府の財政支出を大企業本位から国民生活本位に切り替えることが切実に求められています。
 軍事費や大型公共事業など国の無駄な財政支出を見直し、国民生活の向上へ切り替えるとともに、住民生活を支える地方財政の拡充へ向けて、地方交付税の復元・拡充と税源移譲を進めるべきです。
 特に地方交付税を改善して財政保障・財政調整機能を拡充するとともに、税制については、所得再配分機能を強化することを基本として、消費税増税のような庶民増税ではなく、大企業や資産家への適正な課税強化などを進めることこそ必要です。
 
構造改革路線先導役の石原都政が3000億円で政府と取引
 今回の地方法人特別税等創設は、12月11日の石原知事と福田総理の会見での合意に基づくものです。
 石原知事は、「分権に逆行し、地方税の原則に反する」と反対していたにも関わらず、東京都の重要施策への最大限の努力と国・都の実務者による協議機関新設を条件に合意に至っています。
 この「重要施策」とは、別掲の13項目にのぼりますが、夏季五輪招致での財政保証、羽田空港国際化、3環状道路整備、外郭環状道路の早期着工など、格差と貧困のもとで苦境に置かれている深刻な都民生活の改善に背を向け、五輪招致を口実とした大企業本位の都市再生事業への財政支出を国家規模に強要するものです。
 また、保育水準の低下を拡大する認証保育所制度の承認を求めるなど、保育に関わる公的責任放棄と市場化へむけた構造改革推進などを国に迫るものとなっています。
 まさに、公的責任放棄と市場化を基本とする構造改革路線の先導役としての石原都政による構造改革路線推進へ、3000億円の都民財産まで利用された事態に至っています。
 
 わたしたちは、構造改革路線と対決し、消費税引き上げ反対、地方税財政制度の民主的確立をめざすとともに、都政そのものの民主化に向けて引き続き取り組みを強化するものです。
以上

<別掲>
都当局と政府が合意した「首都東京の重要施策」

@ 羽田空港国際化の一層の推進(国際線発着枠拡大、就航距離の延長)
A 臨海部道路網の整備促進(国道357号東京港トンネルの早期着工ほか)
B 3環状道路の整備促進、高速道路網の合理的料金体系構築
C 外郭環状道路の早期着工
D 開かずの踏み切りの早期解消
E 耐震対策の強化促進など
F 美しい景観の創出
G 緑化の推進と環境の整備
H 治安の維持向上(首都警察、テロ対策)
I 自動車排出ガス対策の強化(国による実効性ある流入車対策の実施)
J 認証保育所の承認
K 東京の特性に応じた施策展開のための規制緩和・分権改革(交通政策審議会答申によらない地下鉄路線建設など)
L 2016年東京オリンピックへの全面的支援(財政保証、招致活動支援など)